半月板損傷|膝関節周囲で起こる様々なトラブル(1)

膝関節はスポーツ動作の中心となる関節の一つです。
また、膝関節を構成する大腿骨と脛骨の間にはその隙間をうめるように『半月板(はんげつばん)』という軟骨が内側と外側にあり、膝関節の安定性を保つとともにショック・アブソーバー(衝撃吸収体)としての作用を持ちます。
一般に年齢を重ねると膝関節に痛みを感じる人が多いのですが、実は膝関節は年齢に関係なく傷めやすい関節としても知られています。
例えば、膝関節のトラブルの一つに『半月板損傷(はんげつばんそんしょう)』という障害があるのですが、この障害は必ずしも加齢が原因で発症するわけではありません。
半月板損傷は激しい痛みを伴うことが多いので異常な痛みを感じた場合はすぐ病院に受診しにいくことをお勧めします。

半月板とその役割

脊柱の椎骨と椎骨の間に椎間板があるように、大腿部と脛骨の間には『半月板(はんげつばん)』と呼ばれる三日月のような形をした軟骨組織があります。

膝関節の構造

膝関節の構造

膝関節の関節円板である半月板は、脊柱の椎間板とは異なり、両膝にそれぞれ一つずつしかありません。
つまり、たった1つの軟骨組織で膝関節を保護しているのです。
そのため、半月板は椎間板と比べると負担がとても大きく、摩耗しやすいという特徴を持っています。
図のように半月板は関節の中央部を通る靭帯(前十字靭帯、後十字靭帯)によって内側と外側に2分されています。

内側の半月板は関節包を介して内側側副靭帯や半膜様筋と繋がっているため可動性が少ないという特徴があり、体重がかかった状態で膝を捻る動きをしたときに痛めやすく、内側側副靭帯(ないそくそくふくじんたい)や前十字靭帯(ぜんじゅうじじんたい)の損傷をともなうことが多い場所として良く知られています。
一方、外側の半月板は外側側副靭帯(がいそくそくふくじんたい)との連結はなく可動性は内側半月板より広いのですが、反面、痛めやすい場所として知られています。
このように内側であれ外側であれ半月板を損傷すると、膝関節がスムーズに動かせなくなり、スポーツは勿論、日常生活にも大きく影響を与えます。
半月板は自力ではほぼ再生できないため治療には切除や縫合手術が行われます。

半月板とその主な役割

半月板は歩いたり、走ったり、ジャンプをしたりしたときに膝関節にかかる衝撃を和らげるクッションのような働きを持っています。
また、運動をしていない場合も、その独特の形によって関節を安定させ、スムーズに膝関節を屈曲-伸展させることができます。
半月板が損傷する主な原因としては、スポーツや作業をしている際に膝を酷く打ち付けてしまったことで発症するケースが多いようです。
また、無理な動きをして激しくねじった際にも半月板が損傷してしまうこともあるので注意が必要です。
必ずしもすべての症例で激しい痛みが出るとは限らず、関節に何かが引っかかったような違和感を感じたり(音がする)、力がうまく入らず動かしにくいといった症状が出ることもあります。
損傷した場合の症状としては、上記のような痛みのほか、関節可動域(ROM)が狭くなってしまうという特徴も見られます。
関節可動域が狭い状態で長期間生活をしているとやがて、患部だけでなく、太ももの前部にある大腿四頭筋という筋肉が衰えることもあるので注意を払う必要があります。

半月板の損傷原因

このように膝関節は私たちの身体の大部分を支えていて体重だけでなく運動の負荷も大きくかかってしまう部分です。
一般的に1つの関節には体重の10倍以上もの力が常に加わっているとも言われており、急に無理な体勢を取ったり強くぶつけたりすることで、許容範囲をオーバーした負荷がかかってしまって損傷しやすくなるのです。
スポーツをしている最中に発症することが多いため、急性スポーツ外傷に該当します。
年齢を重ねた人より無理な動きをすることの多い若者に多い症状ですが、加齢によって組織が老化するためスポーツなどをしていなくても損傷してしまうケースもあります。
この場合は痛みの感じ方にも特徴があり、通常の損傷だと激しい痛みを感じるのですが、加齢による損傷の場合はゆっくりと症状が進行するため痛みも時間をかけて徐々に強く感じるようになっていきます。
先にも述べたように半月板は膝の内側と外側に1つずつ存在しているのですが、関節がどの方向に曲がって痛めたかによっても損傷する場所が異なります。
一般に関節が外側に曲がって痛めた場合は内側が損傷し、内側に曲がって痛めた場合は外側がダメージを受けること多いようです。
しかし、内側に曲がって痛めた場合でも内側の半月板は内側側副靭帯と結合しているので内側の半月板を痛めることもあります。
何れにせよ損傷した箇所によって治療法も異なってくるので、正しい診断が必要になります。

もし、半月板を痛めてしまったら

治療法としては、まず膝関節をできるだけ使わないように安静にしながら、ダメージを受けた箇所を修復させるための適切な処置を行う必要があります。
ダメージが軽ければ患部がずれないように固定することで改善することもあります。
しかし、のちに述べる切除法に比べ、スポーツ復帰までに時間がかかることと、再断裂の可能性が残るなどの問題点が残されています。
症状が重い場合は、壊れてしまった半月板を縫合したり切除(全切除、部分切除)する外科的な手術が必要になることもあります。
手術は内視鏡を使った方法が一般的で、手術時間は1時間程度で入院も1週間前後と負担もかなり少ないです。
しかし、問題はここからです。
手術をしても損傷した半月板は完全に再生することはなく、一度、損傷してしまった半月板は完全に元に戻すことはできません。(近年は他の組織から採取した幹細胞を用いて再生を試みる技術も開発されているため、将来的には完全に再生させることも可能だと見込まれています)
そのため、ある程度、痛みが和らいで来たら専門家の元で関節可動域が狭くならないようにストレッチや大腿部前面を積極的に鍛える必要があるのです。
これにより痛みはある程度、解消されるのですが、放っておけばやがてまた痛みが再発します。
つまり、半月板を一度、損傷してしまったら一生リハビリをし続けなければならないのです。
半月板を損傷してしまう原因は、ほとんどがスポーツなどによるものなので完全に予防することは難しいと思います。
少しでも半月板に掛かるダメージを和らげるように、事前のウォーミングアップをしっかり行うことと、日頃から大腿部前面の筋肉を鍛えるなどして関節にかかる負荷を減らすように努めると良いでしょう。

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