自分の意思と関係なく勝手に首が曲がる痙性斜頸とは

自分の意思に反して首が勝手に傾いてしまったり、また、傾いてしまった頭部を元の位置に戻そうとすると強い痛みを感じて、元の位置に戻すことができないという病気があります。
これを『痙性斜頸(けいせいしゃけい)』といい、首があらぬ方向に曲がってしまい、首の可動範囲も狭まり、正面を向くこともままならなくなってしまうという病気です。
痙性斜頸になると、自分の意思とは無関係に筋肉が過剰に緊張してしまうので、肩や首にコリや痛みが生じ、場合によっては手や指先にしびれなどの不快症状が出ることもあります。
痙性斜頸は自分の意思で思うように姿勢を変えることができない『ジストニア(異緊張症)』という運動障害の一種です。

痙性斜頸の発生の原因

痙性斜頸は無理に動かそうとすると思うように頚椎が動かすことができず、また、違和感や痛み、ときにはしびれなどを誘発することもあります。
その見た目のせいから周囲の目が気になるようになり、この病気のせいで引け目を感じるようになり精神的苦痛を感じる方もいるので、そのストレスから心身症に陥ってしまうケースもあります。
日本における痙性斜頸の患者数は数千人程度とされており、発症する年齢は10代~初老期と幅広く、特に、30代~40代の働き盛りに多いと言われています。
痙性斜頸は放っておいても自然に治癒する可能性はかなり低いのでなるべく早い段階できちんと医療機関で治療を受ける必要があります。
痙性斜頸になってしまう要因は様々あるのですが、実は現代医療をもってしても、はっきりとした原因が特定されているわけではありません。
『脳から筋肉への指令が正常に行われていない』、『無理な姿勢で長時間過ごす(身体の歪み)』なども要因の一つと考えられています。
『また、精神的なストレスや過度の疲労などで自律神経が乱れてしまうことで脳内の姿勢を制御するプログラムの乱れてしまう』ことも影響しているのではないか考えられています。
痙性斜頸の多くの場合、原発性(原発性という言葉には最初、第一という意味があります)ですが、他にも脳性まひや向精神薬の服用などによって引き起こされる薬物の影響によるものもあると言われています。
痙性斜頸の発症初期は首や肩にコリ感がある程度なので、頚椎の傾きや特有の症状がでない限り痙性斜頸だと判断できないこともあります。
そのため、痙性斜頸の発見が遅れる場合が多いので、やがて、症状が首や肩だけに留まらず、それをカバーしようとして全身の筋肉にも影響を及ぼすこともあります。
痙性斜頸の症状の進行には個人差があり、急にあらわれる場合もあれば、徐々に症状が悪化していく場合もあります。(多くは徐々に症状が悪化する場合が多いようです)
何れにせよ、これらの要因が多くなればなるほど痙性斜頸を発症してしまう確立が高くなります。
症状が悪化すると日常生活にかなりの支障をきたすので、違和感を感じたらなるべく早い段階で病院に行き、適切な治療を受けるようにしましょう。

痙性斜頸の治療法

痙性斜頸の治療法としては、いくつかの方法があるのですが、現れた症状などによってその治療法は使い分けられます。

薬物療法
主に筋弛緩薬・抗てんかん薬・抗不安薬を使用して治療をしていきますが、場合によっては効果が認められないこともあります。
バイオフィードバック療法
特殊な電子機器を使用して、筋肉の緊張具合がどのくらいかなどを心拍数・血圧・心電図・筋電図などの数値から割り出し、音や光などでリラックス効果を与えて筋肉の緊張をほぐしながら筋肉の緊張を緩めていくよう練習する方法です。この療法は、比較的軽度な方や精神的影響が少ない方に向いています。
MAB療法
筋肉の緊張部分に麻酔薬とエタノールを注射する方法です。この治療は何度が繰り返して行っていくことで、その効果が発揮されるようになり、効果も持続します。
ボツリヌス製剤療法
最近になって導入されるようになった療法で、食中毒の原因として知られているボツリヌス菌を利用して治療をしていきます。
ボツリヌス菌が生成する天然のタンパク質に含まれる成分には筋肉の緊張を緩める効果があり、そのタンパク質を利用することで症状を緩和するというものです。
これらの治療法以外には、手術をして改善させる方法もあります。
痙性斜頸は自然に治る場合もありますが、その確率は10%~20%程度と言われています。
そのため、発症したら早めの治療を行うことが大切です。
放置すると、約1~5年は進行すると言われており、肉体的、精神的にも長期に渡りとても辛い状態に陥ります。
繰り返しになりますが違和感を感じたらなるべく早い段階で医療機関に行き、適切な治療を施すようにしてください。

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