変形下肢挙上テストⅣ(変形SLR)とは|梨状筋症候群による坐骨神経痛を見分ける検査の方法と骨・関節の仕組みを徹底解説

変形下肢拳上テスト Ⅳ

目的

下肢挙上テスト(SLR)で陽性反応が出た場合、その痛みが神経根の刺激によるものか、あるいは下肢(末梢)の神経の刺激によるものかを判別する必要があります。そのため、変形下肢挙上テストⅠ〜Ⅳを用いて、どの部位が原因になっているのかを詳しく調べます。

  1. 変形下肢挙上テスト Ⅰ(シカール徴候)
  2. 変形下肢挙上テスト Ⅱ(ブラガード徴候)
  3. 変形下肢挙上テスト Ⅲ(ボンネー徴候)
  4. 変形下肢挙上テスト Ⅳ

この変形下肢挙上テストⅣは、特に梨状筋(りじょうきん)による坐骨神経の絞扼、すなわち「梨状筋症候群」が疑われるかどうかを調べるテストです。

実施方法

1. 患者さんを仰臥位(あおむけ)にさせます。
2. 検者は患者さんの患側に立ち、患者さんの踵を包み込むように持ちます。
3. 膝関節を伸展させたまま、徐々に股関節を屈曲させていきます(脚をまっすぐ挙げていきます)。
4. 患者さんが痛みを訴えたところで、下肢の挙上動作を停止します。

変形下肢挙上テスト Ⅳ
変形下肢挙上テスト Ⅳ

5. 痛みを感じたところから、5°だけ下肢を下げます。
6. その位置から、検者は患者さんの様子をみながら、さらに股関節を外旋(外側に捻る)させます。

結果の評価

  • この検査で、股関節を外旋させたときに痛みやしびれが軽減・消失した場合、その症状は神経根の刺激によるものではなく、下肢(末梢)での神経の刺激、特に梨状筋による坐骨神経の絞扼によるものと疑うことができます。

参考

  • 変形SLR Ⅳでは、股関節を外旋させて梨状筋を弛緩させることで、神経症状に変化が出るかどうかをみます。股関節を外旋させると梨状筋がゆるむため、もしこれで坐骨神経への圧迫が減って神経症状(痛み・しびれ)が消失するなら、梨状筋の拘縮(緊張)による坐骨神経痛(梨状筋症候群)と判断する手がかりになります。

梨状筋と坐骨神経の関係|なぜ外旋で症状が変わるのか

梨状筋は、お尻の深いところにある股関節の外旋筋(太ももを外側にひねる筋肉)で、骨盤の仙骨から太ももの骨(大腿骨の大転子)に向かって走っています。そして、ヒト最大の末梢神経である坐骨神経は、多くの場合この梨状筋のすぐ下(梨状筋下孔)を通って骨盤から下肢へと出ていきます。このため、梨状筋が硬くなったり緊張したりすると、その下を通る坐骨神経が圧迫され、お尻から太もも・ふくらはぎにかけての痛みやしびれ(坐骨神経痛)が生じます。これが梨状筋症候群です。

ポイントは、梨状筋は「股関節を外旋させるとゆるみ、内旋させると引き伸ばされて緊張する」という性質です。だからこそ、外旋させて梨状筋をゆるめたときに症状が和らげば、坐骨神経を締めつけていたのは梨状筋だった可能性が高い、と判断できるわけです。逆に、内旋を強制して症状が誘発されるかをみる検査(FAIRテストやフライバーグ徴候など)もあります。

ただし、梨状筋症候群は腰椎椎間板ヘルニアなどの根性坐骨神経痛と症状が似ており、SLRが両方で陽性になるなど鑑別が難しいことも多く、これらの徒手検査単独では確定診断はできません。お尻から脚にかけての痛みやしびれが続く場合は、自己判断せず、整形外科などの医療機関を受診し、画像検査なども含めて総合的に診断してもらうことが大切です。

変形下肢挙上テストⅣのまとめ

変形下肢挙上テストⅣ(変形SLR)は、SLR陽性時に股関節を外旋させて梨状筋をゆるめ、坐骨神経痛が神経根由来か梨状筋症候群によるものかを見分ける徒手検査です。外旋で症状が軽減・消失すれば、梨状筋による坐骨神経の絞扼が疑われます。ただし、ヘルニアなどとの鑑別は難しく単独では確定できないため、お尻や脚の痛み・しびれが続く場合は、医療機関の受診をおすすめします。

参考文献・出典

・日本整形外科学会「坐骨神経痛」https://www.joa.or.jp/

・厚生労働省 e-ヘルスネットhttps://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/

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