変形下肢挙上テストⅢ(ボンネー徴候)とは|梨状筋症候群による坐骨神経痛を見分ける検査の方法と骨・関節の仕組みを徹底解説

目的

下肢挙上テスト(SLR)で陽性反応が出た場合、その痛みが神経根の刺激によるものか、あるいは下肢(末梢)の神経の刺激によるものかを判別する必要があります。そのため、変形下肢挙上テストⅠ〜Ⅳを用いて、どの部位が原因になっているのかを詳しく調べます。

  1. 変形下肢挙上テスト Ⅰ(シカール徴候)
  2. 変形下肢挙上テスト Ⅱ(ブラガード徴候)
  3. 変形下肢挙上テスト Ⅲ(ボンネー徴候)
  4. 変形下肢挙上テスト Ⅳ

このボンネー徴候(変形下肢挙上テストⅢ)は、股関節を内転・内旋させて梨状筋(りじょうきん)を緊張させることで、坐骨神経痛が梨状筋による絞扼(梨状筋症候群)によるものかどうかを調べる誘発テストです。

実施方法

1. 患者さんを仰臥位(あおむけ)にさせます。
2. 検者は患者さんの患側に立ち、患者さんの踵を包み込むように持ちます。
3. 膝関節を伸展させたまま、徐々に股関節を屈曲させていきます(脚をまっすぐ挙げていきます)。
4. 患者さんが痛みを訴えたところで、下肢の挙上動作を停止します。

変形下肢挙上テスト Ⅲ(ボンネー徴候)
変形下肢挙上テスト Ⅲ(ボンネー徴候)

5. 痛みを感じたところから、5°だけ下肢を下げます。
6. その位置から、検者は患者さんの様子をみながら、さらに股関節を内転・内旋(内側に寄せて内側に捻る)させます。

結果の評価

  • 股関節を内転・内旋させたときに、痛みやしびれが誘発・増強した場合は陽性で、その症状は神経根の刺激によるものではなく、下肢(末梢)での神経の刺激、特に梨状筋による坐骨神経の絞扼によるものと疑うことができます。

参考

  • 変形SLR Ⅲ(ボンネー徴候)では、股関節を内転・内旋させることで梨状筋を引き伸ばして緊張させ、神経症状に変化が出るかどうかをみます。梨状筋は股関節を内転・内旋させると伸ばされて硬くなり、その下を通る坐骨神経への圧迫が強まります。そのため、この肢位で坐骨神経痛が誘発・増強するなら、梨状筋の緊張(拘縮)による坐骨神経痛(梨状筋症候群)が疑われます。なお、ハムストリング(半腱様筋半膜様筋など)の関与を調べたい場合は、挙上した下肢を少し下げてハムストリングをゆるめ、症状が消えるかどうかをみる方法もあります。

なぜ「内転・内旋」で梨状筋症候群がわかるのか

梨状筋は、お尻の深いところにある股関節の外旋筋で、骨盤の仙骨から太ももの骨(大腿骨の大転子)へと走っています。そして坐骨神経は、多くの場合この梨状筋のすぐ下を通って下肢へ向かうため、梨状筋が硬くなると坐骨神経が圧迫され、坐骨神経痛(梨状筋症候群)を起こします。

ポイントは、梨状筋は「股関節を外旋させるとゆるみ、内転・内旋させると引き伸ばされて緊張する」という性質です。ボンネー徴候は、この性質を利用して、あえて梨状筋を伸ばす方向(内転・内旋)にストレスをかけ、坐骨神経への圧迫を強めて症状が出るかをみる「誘発テスト」です。逆に、外旋させて梨状筋をゆるめると症状が和らぐかをみるのが変形SLRⅣで、両者は対になっています。

ただし、梨状筋症候群は腰椎椎間板ヘルニアなどの根性坐骨神経痛と症状が似ており、SLRが両方で陽性になるなど鑑別が難しく、確立した単独の確定検査もありません。そのため、複数の誘発テストや画像検査で他の疾患を除外しながら総合的に判断します。お尻から脚にかけての痛みやしびれが続く場合は、自己判断せず、整形外科などの医療機関を受診することが大切です。

変形下肢挙上テストⅢ(ボンネー徴候)のまとめ

ボンネー徴候(変形下肢挙上テストⅢ)は、SLR陽性時に股関節を内転・内旋させて梨状筋を緊張させ、坐骨神経痛が梨状筋症候群によるものかを見分ける誘発検査です。この肢位で症状が誘発・増強すれば、梨状筋による坐骨神経の絞扼が疑われます。外旋で症状をみる変形SLRⅣと対になります。ヘルニアなどとの鑑別は難しく単独では確定できないため、症状が続く場合は医療機関の受診をおすすめします。

参考文献・出典

・日本整形外科学会「坐骨神経痛」https://www.joa.or.jp/

・厚生労働省 e-ヘルスネットhttps://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/

KindleBook

canvas2_1
previous arrow
next arrow




ページ上部へ戻る
error: Content is protected !!