ファレンテスト(Phalen’s test)とは|手根管症候群を調べる検査の方法・正中神経と手首の関節の関係を徹底解説

ファレンテスト

目的

ファレンテスト(Phalen’s test)は、手首の関節を曲げることで手根管内の圧(内圧)を高め、手根管内での正中神経の圧迫を調べる検査です。このテストを行ってしびれ感が増強した場合は『手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)』が疑われ、手根管部分で正中神経が圧迫されていることが示唆されます。

手根管とは、手のひらの付け根にある、手根骨(しゅこんこつ)と横手根靭帯(屈筋支帯)に囲まれた狭いトンネル状の構造で、この中を正中神経と、指を曲げる9本の腱が通っています。何らかの原因でこのトンネル内の圧が高まると、正中神経が圧迫され、母指(親指)から薬指の半分にかけてのしびれや痛みが生じます。これが手根管症候群です。

実施方法

1. 患者さんを座位、または立位にさせます。
2. 検者は患者さんに、両方の手の甲(手背)同士を合わせて手首を最大限に曲げる(掌屈する)ように指示し、この状態のまま30秒〜1分間キープしてもらいます。

ファレンテスト
ファレンテスト(Phalen’s test)

この姿勢を保持することで手根管内圧が持続的に高まり、正中神経が圧迫・刺激されて、神経症状(しびれ)が誘発されます。

結果の評価

このテストにより、正中神経が支配する領域(母指・示指・中指・薬指の橈側半分)にしびれ感が増強・出現した場合は陽性反応で、『手根管症候群』が疑われます。

なお、このテストはあくまで手根管症候群を疑うための誘発テスト(スクリーニング)であり、これだけで確定診断ができるわけではありません。確定診断には、神経伝導検査などの精密検査が必要になります。

参考

ファレンテストの一種で『リバースファレンテスト(逆ファレンテスト)』というテストがあります。通常のファレンテストが手首を曲げる(掌屈する)のに対し、リバースファレンテストでは、両手の手のひら(手掌)を合わせて手首を反らせた(伸展させた)状態を保持します。この肢位でも手根管内圧が高まり、しびれが誘発されれば陽性と判断します。

どんな人に手根管症候群が多いのか

手根管症候群は、明らかな原因なく発症するケースでは中高年以降の女性に多いとされています。また、妊娠・出産期の女性や、パソコン作業・手作業など手首をよく使う人、手首の骨折や外傷の後、糖尿病や透析を受けている方などにも起こりやすいことが知られています。

特徴的なのは、母指から薬指にかけてのしびれで、夜間や明け方に症状が強くなりやすく、手を振ると楽になることがあります。進行すると、母指の付け根の筋肉(母指球)がやせてきて、つまむ動作がうまくできなくなることもあります。ファレンテストやチネル徴候(手首を軽く叩くと指先に響く)などはあくまで簡易的な目安なので、こうした症状が続く場合は、自己判断せず整形外科などの医療機関を受診することが大切です。

ファレンテストのまとめ

ファレンテストは、両手の甲を合わせて手首を曲げた状態を30秒〜1分間保持し、手根管内の正中神経の圧迫によるしびれを誘発して手根管症候群を調べる徒手検査です。母指から薬指の橈側にしびれが増強すれば陽性が疑われます。ただし確定診断には神経伝導検査が必要なため、症状が続く場合は医療機関での受診をおすすめします。

参考文献・出典

・日本整形外科学会「手根管症候群」https://www.joa.or.jp/

・厚生労働省 e-ヘルスネットhttps://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/

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