アドソンテスト(Adson’s test)とは|胸郭出口症候群・斜角筋症候群を調べる検査の方法と首・肩の関節の関係を徹底解説

アドソンテスト

目的

アドソンテスト(Adson’s test)は、胸郭出口症候群を調べるための検査です。胸郭出口症候群は、血管や神経を圧迫している場所によって、

  1. 斜角筋症候群(しゃかくきんしょうこうぐん)
  2. 過外転症候群(かがいてんしょうこうぐん)

などに分類されることがあります。アドソンテストは、このうち特に斜角筋症候群を鑑別するときの検査法です。

胸郭出口症候群は、首から腕へと向かう神経(腕神経叢)や血管(鎖骨下動脈など)の通り道が様々な要因で狭くなり、これらが圧迫されることで、首や肩・胸の痛み、腕や手のしびれ、手の血行不良(冷え)などの症状を引き起こすものです。特に斜角筋症候群では、首の前側にある前斜角筋と中斜角筋という筋肉の間(斜角筋三角)を通る血管・神経が、これらの筋肉の緊張によって圧迫されます。

実施方法

1. 患者さんを座位にさせます。
2. 検者は患者さんの患側に位置し、患側の肩関節を30°ほど外転(手を真横に広げる)・伸展させます。
3. 検者はこの位置で、患者さんの手首の脈(橈骨動脈)を触れて確認します。
4. 検者は患者さんに、頭部を患側に回旋・伸展(顎を上げて上を向く)させながら大きく息を吸い込み、息を止めるように指示します。
5. 検者は患者さんの様子と脈拍の拍動の変化を記録します。
6. このとき、安静時としっかり比較し、反対側(健側)でも同様に確認します。最初に反応が出なかった場合は、頭部を反対側に回旋・伸展させて同じ操作を行うこともあります。

アドソンテスト
①アドソンテスト(Adson’s test)

変形アドソンテスト
②変形アドソンテスト(Adson’s test)

頭部を回旋・伸展させて深呼吸・息止めをすることで斜角筋が緊張し、斜角筋の間を通る鎖骨下動脈が圧迫されて、脈や症状の変化が現れやすくなります。

結果の評価

この①・②のテストにより、橈骨動脈の脈拍が減弱したり停止したり、手のしびれが増強した場合は陽性反応として、斜角筋症候群が疑われます。また、明らかな陽性にならなかったとしても、反対側(健側)よりも脈が弱まる場合には陽性(擬陽性)とすることもあります。そのため、必ず健側と比較し、両側で検査を行うことが大切です。

なお、このテストは健康な人でも脈が弱まることがあり、これ単独で確定診断ができるわけではありません。胸郭出口症候群の診断は、ライトテストやエデンテスト、ルーステストといった他の誘発テストや、画像検査などを組み合わせて総合的に行われます。

参考

橈骨動脈の脈拍が減弱する度合いが大きいほど、それに比例して鎖骨下動脈の圧迫の度合いも強いと考えることができます。もし脈拍が消失してしまうような場合には、斜角筋による鎖骨下動脈の圧迫がかなり強い、ということがいえます。

胸郭出口症候群はどんな人に起こりやすいのか

胸郭出口症候群は、なで肩の女性や、重い荷物を持つ人、腕を上げた姿勢での作業が多い人、デスクワークなどで姿勢が崩れている人などに起こりやすいとされています。これは、なで肩や不良姿勢、重量物による負担が、斜角筋や鎖骨まわりの通り道(胸郭出口)を狭くしたり、斜角筋を緊張させたりするためです。

症状としては、腕や手のしびれ・だるさ・冷え、肩こり、握力の低下などがあり、特につり革をつかむ・洗濯物を干すなど腕を上げる動作で悪化しやすいのが特徴です。アドソンテストはあくまで簡易的な誘発テストなので、こうした症状が続く場合は、自己判断せず整形外科などの医療機関を受診することが大切です。

アドソンテストのまとめ

アドソンテストは、肩を外転・伸展し、頭を患側に回旋・伸展させて深呼吸・息止めを行い、橈骨動脈の脈の減弱やしびれの増強を調べることで、胸郭出口症候群(特に斜角筋症候群)を鑑別する徒手検査です。健側と比較し両側で確認するのが基本で、脈の減弱が強いほど鎖骨下動脈の圧迫も強いと考えられます。ただし確定診断には他の検査との組み合わせが必要なため、症状が続く場合は医療機関の受診をおすすめします。

参考文献・出典

・日本整形外科学会「胸郭出口症候群」https://www.joa.or.jp/

・厚生労働省 e-ヘルスネットhttps://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/

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