肩甲上腕関節(けんこうじょうわんかんせつ)|肩関節のしくみ・動きとローテーターカフ、五十肩を徹底解説

肩甲上腕関節(けんこうじょうわんかんせつ)

英語名称

glenohumeral joint(グレノヒューメラル・ジョイント)

関節の分類

球関節(きゅうかんせつ)

解説

肩甲上腕関節は、いわゆる肩関節(けんかんせつ)のことで、肩甲骨の関節窩(かんせつか)と、上腕骨の上腕骨頭(じょうわんこっとう)で構成されています。

分類上は股関節と同じ球関節(きゅうかんせつ)ですが、肩関節の構造は、肩甲骨の浅い関節窩に対して、上腕骨頭が大きいため、可動域が広い反面、関節の結合がゆるく、脱臼しやすいという特徴をもっています。人体の中で最も大きく自由に動かせる関節であると同時に、最も外れやすい関節でもあるのです。

これを補強するために、関節包(かんせつほう)の一部が肥厚してできた関節上腕靭帯(かんせつじょうわんじんたい)と、烏口上腕靭帯(うこうじょうわんじんたい)が、肩甲上腕関節に安定性を与えています。これらの靭帯が、上腕骨頭が前後にずれるのを制限し、肩甲骨と上腕骨を引きつける役割を果たしています。

また、肩甲上腕関節の周囲の筋肉や腱も、肩関節の安定性に深く関与しています。なかでも、棘上筋棘下筋小円筋肩甲下筋の腱は、肩甲上腕関節を包み込むように補強することから、回旋筋腱板(かいせんきんけんばん=ローテーターカフ)と呼ばれ、肩関節の安定性に最も影響を与えている筋肉群として知られています。

一方、肩関節の周囲には、滑液包(かつえきほう:肩峰下包など)が発達していて、これらが潤滑油の役目を果たすので、肩甲上腕関節を滑らかに働かせることができます。しかし、何らかの原因で、これらの滑液包や腱に石灰化や炎症が起こると、運動制限(背中に手を回す動作など)や痛みを生じ、いわゆる肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)などを発症してしまいます。

関節の動き

肩関節の屈曲・伸展
屈曲-伸展

肩関節の内転・外転
内転-外転

肩関節の水平内転・水平外転
水平内転-水平外転

肩関節の内旋・外旋
内旋-外旋

関節の傷害

肩関節脱臼、インピンジメント症候群、四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)、石灰沈着性腱炎、腱板断裂、上腕二頭筋長頭腱炎など

肩関節は「自由さと引きかえの不安定さ」|守る要はローテーターカフ

肩甲上腕関節(肩関節)は、人体で最も広い可動域をもち、腕をあらゆる方向に振り回せる、非常に自由な関節です。しかし、その自由さは「不安定さ」と引きかえであり、トラブルが多い関節でもあります。このバランスを理解することが、肩を守るカギになります。

肩関節は、浅いお皿(関節窩)に、大きなボール(上腕骨頭)が乗っているような構造です。骨どうしのはまり込みが浅いため、よく動く反面、外れやすく、靭帯だけでは安定を保てません。そこで重要になるのが、関節を包み込む4つのインナーマッスル「ローテーターカフ(回旋筋腱板)」です。これらが、骨頭をお皿に引き寄せ、肩を安定させる「縁の下の力持ち」となっています。だからこそ、ローテーターカフが衰えたり、傷ついたりすると、肩のトラブルが一気に増えます。腕を上げる途中で痛む「インピンジメント症候群」、腱が切れる「腱板断裂」、関節が外れる「肩関節脱臼」、そして関節が固まって動かなくなる「五十肩(肩関節周囲炎)」などが代表的です。

肩を健康に保つには、(1)チューブなどを使った軽い負荷で、ローテーターカフ(特に外旋筋)を鍛える、(2)猫背・巻き肩を直し、肩甲骨が正しく動く姿勢を保つ、(3)野球やテニスなど、肩を酷使する動作の前後にストレッチを行い、使いすぎを避ける、ことが効果的です。腕が上がらない、夜眠れないほど肩が痛む、肩を動かすと引っかかる・力が入らない、といった症状が続く場合は、五十肩・腱板断裂など原因がさまざまで、対処も異なるため、自己判断せず整形外科を受診しましょう。

まとめ

肩甲上腕関節(肩関節)は、浅い関節窩に大きな上腕骨頭がはまる球関節で、人体で最も広い可動域をもつ反面、外れやすい関節です。靭帯に加え、ローテーターカフ(回旋筋腱板)が安定の要となり、屈曲・外転・内外旋など多方向の動きを支えます。肩関節脱臼や五十肩、腱板断裂などが起こりやすく、腕が上がらない・夜間痛が続く場合は、整形外科を受診しましょう。

参考文献・出典

・日本整形外科学会「肩関節周囲炎」https://www.joa.or.jp/

・厚生労働省 e-ヘルスネットhttps://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/

KindleBook

canvas2_1
previous arrow
next arrow




ページ上部へ戻る
error: Content is protected !!