ジャンパーズニー、ランナーズニー|膝関節周囲で起こる様々なトラブル(3)|原因・症状・なりやすい人・予防法を徹底解説

これまで過去2回ほど膝関節周辺のトラブルについて取り上げてきましたが、膝関節は実に様々なトラブルに見舞われる場所です。今回は『ジャンパーズニー、ランナーズニー』について取り上げます。『ニー(knee)』は、英語で膝という意味があります。

バレーボールやバスケットボールなどはもちろん、ジョギングやランニングなどのスポーツでは、常にジャンプと着地、あるいは接地を繰り返しています。そのため、その衝撃が膝関節にかかり、いわゆる『使いすぎ』になってしまうことがあります。これを俗に『オーバーユース・シンドローム』といい、日本語では『使いすぎ症候群』と訳されています。

膝の使い過ぎによる傷害は色々ありますが、膝関節のオーバーユースのなかでも『ジャンパーズニー』と『ランナーズニー』は、一番メジャーな傷害だと思います。いずれの傷害も、使い過ぎにより、運動時の痛みや圧痛、炎症などがみられます。

オーバーユース・シンドロームとは

オーバーユース・シンドロームは、文字通り、使い過ぎにより筋肉や靭帯、腱などの組織に著しく負担がかかり、それによってそれらの部分で圧痛、炎症などが起こってしまうものです。もちろん、軟骨組織や骨なども例外ではありません。軟骨に負担がかかった場合は軟骨組織に摩擦が生じて擦り減ることもありますし、骨に負担がかかった場合は疲労骨折に至ってしまうこともあります。

オーバーユース・シンドロームは、現在の痛みの程度により、3つのステージに分けることができます。

  1. 軽度:スポーツなどを行うと、プレー後に痛みが出る。
  2. 中等症:スポーツなどを行うと、プレー中・プレー後に痛みが強く出る。
  3. 重症:スポーツを行わなくても日常で常に痛みがあり、当然、スポーツを行うとプレーに大きく支障をきたすほど激しい痛みが出る。

オーバーユース・シンドロームは、文字どおり使いすぎによるものなので、ステージにもよりますが、症状が発症したら、やはり安静にするか、運動の強度・量・頻度などを落とす必要があります。以下に『ジャンパーズニー』と『ランナーズニー』をご紹介します。

ジャンパーズニーとは

ジャンパーズニー好発部位
ジャンパーズニー好発部位

ジャンパーズニーは、その名称からもおわかりいただけると思いますが、バレーボールやバスケットボールなど、ジャンプを繰り返すスポーツで多くみられる傷害です。日々、ジャンプをして着地することを繰り返し行うことで、『膝蓋骨(しつがいこつ)』周辺に強い痛みが出るようになります。

膝蓋骨の上に痛みがある場合は『大腿四頭筋腱付着部炎(だいたいしとうきんけんふちゃくぶえん)』と呼ばれ、膝蓋骨の下に痛みがある場合は『膝蓋腱炎(しつがいけんえん)』と呼ばれます。いずれにせよ、ジャンパーズニーは膝蓋骨の上下に痛みを感じ、圧痛・腫れなどの炎症が現れます。

ランナーズニーとは

ランナーズニーは、その名称からもおわかりいただけると思いますが、ランナー、特に長距離を走る方に多くみられる傷害です。ランナーズニーの代表的なものが、腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)です。腸脛靭帯は、大腿の外側を下行し、脛骨の外側顆につく丈夫な靭帯です。このため、腸脛靭帯炎は膝の外側に痛みを感じ、圧痛・腫れなどの炎症が現れます。

ランナーズニー、ジャンパーズニーになりやすい方の特徴

同じプレーヤーでも、ランナーズニー・ジャンパーズニーになりやすい方となりにくい方がいます。なりやすい方は、大腿四頭筋の柔軟性があまりないという特徴があります。オスグッド・シュラッター病の記事でも書きましたが、やはり、ここでも大腿四頭筋の柔軟性を調べる必要があります。

大腿四頭筋の柔軟性を調べる方法
  1. まず、患者さんをうつ伏せにさせ、膝関節を曲げてもらいます。
  2. 患者さんの踵がお尻につくように、検者は補助します。
  3. このとき、お尻と踵に隙間がない、あるいは指二本分以下の隙間があく程度なら、さほど問題はありません。しかし、指が四本分以上の隙間があいてしまっているようなら、大腿四頭筋がかなり固くなっていると判断できます(※ただし、ズボンの固さ、皮膚の状態〔やけどなどで皮膚の弾力性が失われているなど〕、脂肪の厚み、筋肉の量などを考慮する必要があります)。

もし、上記のテストで大腿四頭筋が硬いと判断されたら、積極的に大腿四頭筋のストレッチを行うことを心がけてください。また、この検査を行ったときに膝が外方へずれるような動きが確認できたら、さらに『大腿筋膜張筋(だいたいきんまくちょうきん)』の硬さを疑った方がよいでしょう。大腿筋膜張筋が硬いということは、すなわち腸脛靭帯への負担がそれだけ高いということになりますから、この反応が出た方は、ランナーズニーになってしまう要素も持ち合わせていると判断できます(大腿筋膜張筋・腸脛靭帯の硬さを調べる直接的なテストに『オーバーテスト』というテストがありますが、ここでは割愛します)。

ランナーズニー、ジャンパーズニーを予防するには

基本的に、これらの症状が出てしまったら、まずは整形外科に行くことをおすすめします。また、症状が治まるまではスポーツを完全にやめて患部を休ませることが基本となります。仮にスポーツを行ったとしても、運動の強度・量・頻度ともに落とした方がよいです。しかし、スポーツを本格的に行っていて、休んでいられない状態に置かれている場合は、積極的に治療を施す必要があります。

痛みや炎症があるときには、抗炎症鎮痛薬を使用(内服・外用)したり、運動後はアイシングを行ったりしてください。整形外科や整骨院で行う、超音波や低周波などの物理療法も効果的です。いうまでもありませんが、スポーツ実施時には入念なウォーミングアップ、スポーツのあとにはクーリングダウンを行うように心がけてください。いずれにせよ、素人判断せず、整形外科や柔道整復師、トレーナーなどの指示に従って行うことが大切です。

そして、スポーツの実施前・後に関わらず、日頃から大腿四頭筋や大腿筋膜張筋のストレッチをこまめに行ってください。この際、効果を早く得ようとして必要以上に力んだり、反動をつけたりするのは、当サイトとしては推奨しません。

「使いすぎ」のサインを見逃さないことが何よりの予防

ジャンパーズニーもランナーズニーも、ある日突然起こるのではなく、膝からの「使いすぎ」のサインが少しずつ積み重なって発症します。だからこそ、早い段階でそのサインに気づき、対応することが、何よりの予防になります。

最初は「運動の後だけ、膝の上下や外側がなんとなく痛む」程度です。この軽度の段階で休養やストレッチ、運動量の調整を行えば、比較的早く回復します。しかし、「これくらい大丈夫」と無理を続けると、プレー中ずっと痛む中等症、さらには日常生活でも痛む重症へと進み、回復にも長い時間がかかるようになります。痛みは、身体が出してくれている大切な警告なので、我慢して押し切るのではなく、立ち止まる勇気が大切です。

予防のポイントを整理すると、(1)運動前後のウォーミングアップとクーリングダウンを省略しない、(2)大腿四頭筋・大腿筋膜張筋など硬くなりやすい筋肉を日頃からゆっくりストレッチする、(3)急に練習量を増やさず、硬い路面やすり減った靴を避ける、(4)違和感が出たら早めに休む、の4点です。それでも痛みが続く・繰り返す場合は、自己判断せず整形外科を受診し、原因に合った治療とリハビリを受けることが、競技を長く続けるための近道になります。

まとめ

ジャンパーズニー(膝蓋腱炎など)とランナーズニー(腸脛靭帯炎)は、ジャンプやランニングの繰り返しによる膝の使いすぎ(オーバーユース)で起こる傷害です。ジャンパーズニーは膝蓋骨の上下、ランナーズニーは膝の外側が痛むのが特徴で、大腿四頭筋や大腿筋膜張筋が硬い人がなりやすい傾向があります。安静・アイシング・ストレッチが基本で、軽いうちに対応することが大切です。痛みが続く場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

参考文献・出典

・日本整形外科学会https://www.joa.or.jp/

・厚生労働省 e-ヘルスネットhttps://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/

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