腸骨圧迫テスト(Iliac compression test)とは|仙腸関節の障害を調べる検査の方法と骨・関節の仕組みを徹底解説

目的

腸骨圧迫テストは、仙腸関節に障害(機能障害・炎症など)があるかどうかを調べる検査方法です。横向きで腸骨を圧迫することで、腸骨を介して仙腸関節に圧縮ストレス(押し縮める力)を加え、仙腸関節由来の痛みを誘発します。

仙腸関節は、骨盤の仙骨と腸骨の間にある関節で、もともとほとんど動かない関節です。仙腸関節由来の痛みはレントゲンやMRIでは写りにくく見逃されやすいため、原因を探るうえでは、こうした徒手的な疼痛誘発テストが役立ちます。このテストで陽性反応が出た場合、仙腸関節に何らかの問題があることが疑われます。

実施方法

1. 患側が上向きになるように、患者さんを側臥位(横向き)にさせます。このとき、股関節を約45°、膝関節を約90°ほど軽く曲げてもらうと安定します。
2. 検者は患者さんの後方に立ち、患者さんの腸骨の腸骨稜あたりに両手を当てます。
3. 検者はベッドに向かって(下方・正中方向へ)ゆっくりと圧迫を加えます。
4. 同様に、反対側も実施し、左右を比較します。

腸骨圧迫テスト(Iliac compression test)
腸骨圧迫テスト(Iliac compression test)

結果の評価

テスト中、仙腸関節の部分に、患者さんがいつも感じている痛みが誘発された場合は陽性反応で、仙腸関節の捻挫・炎症などの障害が疑われます。

もし、ごくわずかな力で圧迫しただけでも患者さんがとても強く痛がるようなら、腸骨(骨盤)が骨折している可能性も考えます。腸骨の骨折は、主に転倒して直接腸骨を打撲したことが原因となることが多いようです。腸骨の骨折の診断には画像検査が必要ですが、通常の骨盤撮影の仕方では腸骨の骨折を見逃す場合もあるため、注意が必要です。なお、この圧迫テストは単独では精度が高くないため、他の仙腸関節の誘発テスト(ディストラクションテストやゲンスレンテスト、パトリックテストなど)と組み合わせて総合的に判断します。

参考

仙腸関節は、他の関節とは異なり、非常に可動域の小さい関節として知られています。しかし、仙腸関節に問題があると、股関節の屈曲・伸展動作をスムーズに行うことができなくなるため、『足を持ち上げる』『歩く』『走る』といった日常生活動作にも影響を及ぼすことがあります。なお、仙腸関節の障害は、かつては見過ごされがちでしたが、近年では腰痛の原因の一つとして注目されるようになってきています。

仙腸関節の痛みはなぜ見逃されやすいのか

仙腸関節が原因の腰痛・お尻の痛みは、見逃されやすいことで知られています。その大きな理由は、仙腸関節の痛みがレントゲンやMRIなどの画像検査でははっきり写りにくいことにあります。仙腸関節性の痛みは、骨が折れたり大きく変形したりする問題というより、関節の動きや安定性に関わる「機能的」な問題であることが多いためです。

また、仙腸関節の痛みは、お尻のやや上(仙腸関節の周辺)や鼠径部に出ることが多く、坐骨神経痛のように脚へ広がる痛みやしびれを伴うこともあるため、椎間板ヘルニアや腰椎の問題と間違われやすいという特徴もあります。だからこそ、腸骨圧迫テストのような誘発テストを複数組み合わせて、痛みの原因が仙腸関節にあるのかどうかを丁寧に確かめることが大切です。仙腸関節障害が強く疑われる場合は、確認のために仙腸関節ブロック(注射)が用いられることもあります。腰やお尻の痛みが続く場合は、自己判断せず、整形外科などの医療機関を受診することが大切です。

腸骨圧迫テストのまとめ

腸骨圧迫テストは、横向きで腸骨稜を下方へ圧迫し、仙腸関節に圧縮ストレスを加えて痛みを誘発する徒手検査です。仙腸関節部にいつもの痛みが再現されれば陽性で、仙腸関節の障害が疑われます。ごくわずかな力で強く痛がる場合は腸骨骨折の可能性も考えます。単独では精度が高くないため、他の誘発テストや画像と組み合わせて判断します。腰やお尻の痛みが続く場合は、医療機関の受診をおすすめします。

参考文献・出典

・日本整形外科学会https://www.joa.or.jp/

・厚生労働省 e-ヘルスネットhttps://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/

KindleBook

canvas2_1
previous arrow
next arrow




ページ上部へ戻る
error: Content is protected !!