梨状筋症候群の原因と改善法について|お尻の痛み・しびれの原因とストレッチを徹底解説

いわゆる背骨は、椎骨と呼ばれる24個の骨が積み木のように重なって脊柱を形成しています。この椎骨と椎骨の間には椎間板とよばれる軟骨があり、普段はクッションの役割を果たしています。

しかし、老化や激しい運動などで椎間板が外に飛び出してしまい、神経を圧迫して、激しい痛みやしびれを引き起こすことがあります。このように、腰痛やお尻の痛み、足先に放散する痛み・しびれ、足に力が入らなくなった状態を、腰椎椎間板ヘルニアといいます。

しかし、腰椎椎間板ヘルニアというわけでもないのに、常に臀部の奥から太ももの裏側にかけて痛みやしびれを感じている人は少なくありません。そのような場合は、一度、梨状筋症候群(りじょうきんしょうこうぐん)を疑う必要があります。

なぜ梨状筋症候群になってしまうのか?

梨状筋(りじょうきん)という筋肉をご存じの方は少ないと思います。梨状筋とは、臀部を構成する筋肉の一つで、臀部の深部にある筋肉(いわゆるインナーマッスル)です。実は、この梨状筋と坐骨神経の間には密接な関係があり、梨状筋に問題があると、その同じ側の坐骨神経にも症状が出るケースが多くみられます。

梨状筋症候群の症状は、先にも述べたとおり、臀部から大腿部後面にかけての痛みとしびれですが、特に臀部の奥がビリビリする神経的な痛みが、慢性的に続くのが特徴です。このような症状から、腰椎椎間板ヘルニアと自己判断する人が多いのですが、梨状筋症候群は、椎間板ヘルニアのように強い腰部の痛みを伴わないことが多いという特徴があります(坐骨神経の走行に沿って、太もも裏から下腿・足にかけてしびれが及ぶこともあります)。もちろん、梨状筋症候群の方が、いくら椎間板ヘルニアの治療を行ったとしても、なかなか改善しません。

梨状筋と坐骨神経
梨状筋と坐骨神経

そもそも、なぜ梨状筋に問題があると坐骨神経の症状が現れるのでしょうか。

本来、坐骨神経は梨状筋の下を通っており、梨状筋が坐骨神経を圧迫することは多くないのですが、スポーツ選手、特にランニングなど股関節の屈伸運動を頻繁にする人や、立ち仕事・車の運転など長時間同じ姿勢をとっている人、臀部の筋肉が異常に硬くなっている人は、梨状筋が坐骨神経を圧迫して、坐骨神経痛の症状を引き起こしてしまうことがあります。また、先天的に、梨状筋と坐骨神経の位置関係から圧迫を受けやすい方もいます。

急性の梨状筋症候群は、まず安静にするのが先決ですが、痛みが特にひどい場合は、神経ブロックや、ときには手術が用いられることもあります。慢性的な梨状筋症候群の場合は、ストレッチを行うことで症状が解消される場合もあります。

梨状筋ストレッチ

梨状筋拘縮側の筋肉の割り出し方
梨状筋拘縮側の筋肉の割り出し方

梨状筋が硬くなっている側を見分ける方法には、ヒブテスト(整形外科的検査法の一種)などがありますが、一人で判断するのは困難なので、ご自身で確認する場合には、仰向けになって、足先がより外側に向いている方が左右どちらなのかを見ます。

より足先が外側に向いている側の方が、梨状筋をはじめとする臀部の筋肉が硬くなっている可能性があるので、そちら側をストレッチすると効果的です。すでに臀部の不快感や坐骨神経痛の症状が出ている方は、その症状が出ている側の梨状筋をストレッチするとよいでしょう。また、整体などで施術を受けた際に『脚が短い』と言われた側の臀部が、硬くなっている可能性が高いので、そちら側の臀部をストレッチすると予防にもつながります。

梨状筋のストレッチ
梨状筋のストレッチ

  • 背筋を伸ばし、足首を反対側の膝に乗せます(伸ばしたい側=硬くなっている側の臀部)。
  • 肩の力を抜いて、軽く膝の上と足首に手を添え、肘で膝を軽く押さえます。このとき、可能であれば、乗せた足が地面と水平になると理想的です。

梨状筋のストレッチ(前傾姿勢)
梨状筋のストレッチ

  • このまま、ゆっくりと背筋を伸ばしたまま身体を前傾します。
  • 痛みのない範囲で、左右20〜30秒を目安に行ってください。

このストレッチを毎日(特にお風呂上がりなど身体が温まっているとき)に続けることで、梨状筋症候群の改善が見込めます。ただし、ストレッチでしびれや痛みが強くなる場合は、無理に行わず中止してください。

梨状筋症候群を防ぐ・悪化させないためのポイント

梨状筋症候群は、お尻の奥の筋肉(梨状筋)への負担が積み重なって起こるため、日頃の過ごし方を見直すことが、予防にも改善にもつながります。

最も多い原因の一つが「長時間の同じ姿勢」です。デスクワークや車の運転などで長く座りっぱなしでいると、お尻の筋肉が圧迫され続けて硬くなり、坐骨神経を刺激しやすくなります。30分〜1時間に一度は立ち上がって歩く、軽くお尻を動かす、といった「こまめに姿勢を変える」習慣がとても有効です。また、硬い椅子や、財布などを後ろポケットに入れたまま座ることも、お尻への圧迫になるので避けましょう。冷えも筋肉を硬くするため、お尻や腰を冷やさないことも大切です。

ランニングなどでお尻に負担がかかりやすい方は、運動の前後に梨状筋やお尻まわりをしっかりストレッチし、急に運動量を増やさないことが、予防のポイントになります。

なお、お尻〜脚の痛みやしびれは、梨状筋症候群だけでなく、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症など、腰の神経の問題が原因のこともあります。これらは自己判断が難しく、対処法も異なります。特に、しびれや痛みが強い・長引く、脚に力が入らない、排尿排便に異常がある、といった場合は、自己流のストレッチだけで様子を見ず、整形外科を受診して原因を確かめてもらいましょう。

まとめ

梨状筋症候群は、お尻の深部にある梨状筋が坐骨神経を圧迫・刺激することで、お尻から太もも裏にかけて痛みやしびれが出る状態です。長時間の座位や股関節の使いすぎ、お尻の筋肉の硬さが主な原因で、強い腰痛を伴いにくいのが椎間板ヘルニアとの違いです。改善には梨状筋のストレッチや、こまめに姿勢を変えることが有効です。しびれや痛みが強い・長引く場合は、自己判断せず整形外科を受診しましょう。

参考文献・出典

・日本整形外科学会https://www.joa.or.jp/

・厚生労働省 e-ヘルスネットhttps://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/

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