坐骨神経痛の原因と改善法について|椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症など原因別の特徴とストレッチを徹底解説

普段の姿勢から骨格に歪みが生じ、身体に様々な不快症状を引き起こすことがあります。その中のひとつに、坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)という症状があります。坐骨神経痛は、若年層・高年齢層を問わず誰にでも起こりうるもので、すべての人が気をつける必要があります。今回は、この坐骨神経痛の原因と症状、そして改善方法についてご紹介していきます。

そもそも坐骨神経痛とは?!

私たちの身体には、腰からお尻、足にかけて、坐骨神経(ざこつしんけい)という太い神経が伸びています。身体の歪みや様々な原因により、この坐骨神経が圧迫されたり刺激されたりすると、痛みやしびれを伴うようになります。これが、坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)と呼ばれる症状です。

ここで知っておきたいのは、「坐骨神経痛」は病名ではなく、お尻から脚にかけて出る痛み・しびれという「症状」を指す言葉だということです。先にも述べたとおり、坐骨神経痛は必ずしも年配の方がなるものではなく、若年層の方でもなります。多くの場合、坐骨神経痛は腰痛から始まり、臀部や大腿部、下腿部にかけて、痛みやしびれなどの不快症状を伴います。

坐骨神経痛の原因とは!?

若年層のほとんどは腰椎椎間板ヘルニア(ようついついかんばんヘルニア)が原因で引き起こされ、高年齢層では腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)が原因で引き起こされることがほとんどです。つまり、坐骨神経痛とは、いわばこれらの病気などによって起こる症状の総称ととらえてもよいでしょう。

①腰椎椎間板ヘルニア(ようついついかんばんヘルニア)
脊柱は、椎骨(ついこつ)と呼ばれる骨が連なってできています。この椎骨と椎骨の間には、クッションとしての役割を果たす椎間板(ついかんばん)と呼ばれる組織があります。椎間板にはゼリー状の髄核(ずいかく)があり、この髄核が飛び出さないように、その周りを線維輪(せんいりん)と呼ばれる組織が覆っています。しかし、椎間板に何らかの負荷が加わると、髄核が線維輪を突き破り、外に飛び出した髄核が、近くを通る神経(神経根)を圧迫することで、痛みやしびれが誘発されます。腰椎レベルでヘルニアが発生し、腰周りを中心に痛み・しびれが出る症状を、腰椎椎間板ヘルニアと呼びます。これが頚椎レベルで発生した場合は、頚椎椎間板ヘルニア(けいついついかんばんヘルニア)といいます。

②腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)
脊柱は、私たちの身体を支える役割のほかに、脳から伸びる脊髄神経を守る役割を果たしています。その脊髄神経が通っている通り道を、脊柱管(せきちゅうかん)と呼びます。腰部脊柱管狭窄症とは、文字通り、脊柱管が何らかの原因で狭くなり、これにより神経が圧迫されて、痛みやしびれなどを発症する病気です。

腰部脊柱管狭窄症は、50代を超える人に多くみられ、加齢によって脊柱管が狭くなることで、その中を走行している神経が圧迫されます。脊柱管狭窄症は、下半身の痛みやしびれのほか、間欠性跛行(かんけつせいはこう:少し歩くと脚が痛んだりしびれたりして歩けなくなり、少し休むとまた歩ける、という症状)を伴うことがあります。腰部脊柱管狭窄症は、腰椎のすべり症によって椎骨の一部が前にずれることで発症することもあります。

また、坐骨神経痛の原因には、他に腫瘍が関係している場合もあります。脊柱やその周囲に何らかの原因でできた腫瘍が神経を圧迫して、腰や下肢に痛みやしびれを引き起こすことがあります。このように、坐骨神経痛が起こる原因には、様々な理由があります。

坐骨神経痛を放っておくとどうなる?

坐骨神経痛は、放っておくと、さらに症状が悪化するケースがほとんどです。しかし、腰椎椎間板ヘルニアが原因で坐骨神経痛になった場合は、そのまま放置しておいても、次第に症状が軽くなるという報告もあります。

ひと昔前までは、腰椎椎間板ヘルニアによって生じた椎間板の出っ張りは戻ることはない、というのが一般的な見解でしたが、近年の研究では、飛び出した髄核の水分が体内に吸収されたり、身体が髄核を「異物」とみなして免疫細胞(マクロファージ)が処理・吸収したりすることで、神経への圧迫が和らぐことがわかってきました。これにより、腰椎椎間板ヘルニアの症状が、時間とともに軽減されることもあるのです。そのため、発症してから数年後にはヘルニアの症状が治まったという声も、少なくありません。

ただし、症状が軽減されたからといって、油断は禁物です。また、排尿・排便の障害や、強い脚の麻痺を伴う場合は、緊急の治療が必要なこともあるので、自己判断で放置せず、必ず医療機関を受診してください。

日常で気をつけることは?

坐骨神経痛にならないためには、普段の姿勢に気をつける必要があります。坐骨神経痛と身体の歪みはとても密接な関係があるので、普段の姿勢を正しい状態に近づけることで、坐骨神経痛による不快症状を和らげることが期待できます。

最低でも、座るときや立つときは体重が左右に均等にかかるようにし、足は組まずに座るよう心がけましょう。床に座る場合は、正座を横に崩した座り方(横座り)や、両膝を立てた体育座りは、避けるようにしましょう。

姿勢以外に、坐骨神経痛を引き起こす・悪化させる要因として「冷え」があります。腰や下肢を冷やすことは、坐骨神経痛を悪化させる原因になることもあるので、冷え性の方は、夏でも靴下をはいて過ごすのがよいかもしれません。さらに注意が必要なのは「肥満」です。体重が増加することにより、私たちが想像する以上に腰部に負担がかかります。それが原因で坐骨神経痛が悪化する恐れもあるので、食事管理などもしっかり行い、適度な運動を行うように心がけましょう。

坐骨神経痛に効果的なストレッチ

上記で述べてきた原因のほかにも、坐骨神経痛が生じることがあります。例えば、臀部の筋肉、とりわけ梨状筋(りじょうきん)と呼ばれる臀部のインナーマッスルが、何らかの原因で過緊張してしまった場合、これが原因で坐骨神経を刺激し、坐骨神経痛を誘発することがあります。これを俗に、梨状筋症候群(りじょうきんしょうこうぐん)といいます。梨状筋症候群については別ページで詳しく記載しましたので、そちらをご参照ください。

さて、ここでは梨状筋症候群のみならず、坐骨神経痛に有効なストレッチを一つご紹介します。

お尻(梨状筋)のストレッチ

  • 背筋を伸ばし、足首を反対側の膝に乗せます(伸ばしたい側=硬くなっている側の臀部)。
  • 肩の力を抜いて、軽く膝の上と足首に手を添え、肘で膝を軽く押さえます。このとき、可能であれば、乗せた足が地面と水平になると理想的です。
  • このまま、ゆっくりと背筋を伸ばしたまま身体を前傾します。
  • 痛みのない範囲で、左右20〜30秒を目安に行ってください。

ストレッチの時間は、片脚20〜30秒を目安に行い、これを3セット行いましょう。このストレッチを毎日お風呂上がりにすることで、坐骨神経痛の改善が見込めます。ただし、ストレッチでしびれや痛みが強くなる場合は中止し、無理に行わないようにしてください。

身体の歪みは、坐骨神経痛以外にも様々な症状を引き起こすことがあります。それらの症状に悩まされないためにも、まずは普段の姿勢を正すことから心がけましょう。もし坐骨神経痛になった場合は、無理をせず、すぐに専門医に診てもらうことをおすすめします。

こんな坐骨神経痛は要注意|すぐ受診すべきサイン

坐骨神経痛の多くは、姿勢の改善やストレッチ、保存療法で和らいでいきますが、中には、急いで医療機関を受診すべき「危険なサイン」があります。

特に注意したいのが、排尿・排便の障害(尿が出にくい・漏れる、便意がわかりにくい)、お尻や股間まわりのしびれ、両脚に広がる強い脱力・麻痺です。これらは、神経の束(馬尾)が強く圧迫されている「馬尾症候群」のサインで、放置すると後遺症が残ることがあるため、緊急の治療が必要になることもあります。こうした症状がある場合は、様子を見ずにすぐ受診してください。

また、危険なサインがなくても、痛み・しびれで歩くのがつらい、片脚に力が入りにくい、安静にしても痛む、発熱や体重減少を伴う、といった場合は、自己判断で我慢せず、整形外科を受診しましょう。坐骨神経痛は「症状名」であり、その背景には、ヘルニアや脊柱管狭窄症、ときには腫瘍など様々な原因が隠れています。正しく原因を見極めてもらうことが、適切な治療と早い改善への近道になります。

まとめ

坐骨神経痛は、お尻から脚にかけて痛み・しびれが走る「症状名」で、若年層は腰椎椎間板ヘルニア、高齢層は腰部脊柱管狭窄症が主な原因です。姿勢の歪みや冷え、肥満が悪化要因となるため、正しい姿勢や体重管理、梨状筋のストレッチが予防・改善に有効です。多くは保存療法で軽快しますが、排尿排便の障害や強い麻痺がある場合は緊急受診が必要なので、痛みが続く場合は早めに医療機関を受診しましょう。

参考文献・出典

・日本整形外科学会https://www.joa.or.jp/

・厚生労働省 e-ヘルスネットhttps://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/

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