頚椎症?その首の痛みや手のしびれは頚椎の変形が原因かも?|頚椎症性脊髄症・神経根症の症状と治療を徹底解説

頚椎症,痺れ

首の骨は『頚椎(けいつい)』と呼ばれ、椎骨(ついこつ)が7個連なって形成されています。多少の個人差はあるものの、およそ5kgほどの頭部を、この頚椎が支えているのです。

椎骨と椎骨の間には、椎間板(ついかんばん)と呼ばれる、衝撃を和らげるクッションのようなものがあり、この椎間板の働きによって、頚椎どうしの摩擦や、脊柱にかかる負担を軽減させることができます。

しかし、加齢や、長期にわたり頚椎に負担をかけ続けることで、

  1. 椎間板が摩耗してしまう
  2. 椎間板や頚椎が変形してしまう
  3. 頚部周辺の靭帯が肥厚し、硬化してしまう
  4. 頚椎の椎骨部分に『骨棘(こつきょく)』と呼ばれる突起物が形成されてしまう

などの様々な変化が現れるようになり、やがて、これらが原因で、頚部や肩部、上腕部、前腕部、手部などに痛みやしびれなどの症状が現れることがあります。これを俗に『頚椎症(変形性頚椎症)』といいます。

頚椎の変形そのものは加齢に伴う自然な変化ですが、それが原因で、首や肩、腕などに痛みやしびれなどの症状を発症した時点で、初めて「病気」として診断されます。外傷以外の頚椎症の主な発症原因は、加齢による椎間板の変性(老化現象)や、靭帯の肥厚などです。そのため、頚椎症は、誰しもが発症する可能性がある病気といえます。

頚椎症は、障害される部位により、さらに『頚椎症性脊髄症(けいついしょうせいせきずいしょう)』『頚椎症性神経根症(けいついしょうせいしんけいこんしょう)』に分類することができます。

頚椎症の種類と主な症状

1. 頚椎症性脊髄症(けいついしょうせいせきずいしょう)
頚椎症性脊髄症とは、加齢により椎間板の変性が進み、椎骨の一部が棘(とげ)状に大きくなったり(骨棘)、靭帯が肥厚したりすることで、脊柱管にある脊髄(神経の本幹)が圧迫され、四肢に痛みやしびれなどの症状が出てしまう疾患のことです。

主な症状としては、『手がしびれる』『肘や肩が動かしにくい』『足がしびれる』『歩きにくい』『転びやすい』などがあります。その他に、尿や便が出にくいといった、排泄面の症状が現れることもあります。さらに症状が進行すると、手足に麻痺が出てしまい、その麻痺により『手先の動きが悪くなる』『箸がスムーズに使えない』『洋服のボタンの着脱ができない』『字がうまく書けない』などの『巧緻運動障害(こうちうんどうしょうがい)』を発症してしまうこともあります(要するに、細かい作業がしにくくなるという意味です)。

このように、頚椎症性脊髄症は、脊髄という全身に関わる大きな神経に問題が起こるので、深刻な症状が現れるようになります。保存療法を続けているだけでは症状の改善が見られないことも多く、次第に日常生活にも大きな支障をきたすようになります。痛みが強く、症状が重い場合は、脊髄の圧迫をとるための手術を行う必要があります。手術の内容は、主に変形した椎間板や骨棘を除去したり、脊柱管を拡げたりして、脊髄の圧迫を取り除くというものです。

2. 頚椎症性神経根症(けいついしょうせいしんけいこんしょう)
頚椎症性神経根症とは、頚椎の変形(椎間板ヘルニアや骨棘形成など)により、脊髄から枝分かれした神経根が圧迫されることで起こる病気で、主に片側に痛みやしびれが生じる疾患です。

主な症状は、『首・腕・手・指先の痛みやしびれ』『動かしにくい』『力があまり入らない』『首を反らせる(頚部の伸展動作)と痛い』などが挙げられます。治療としては主に保存療法が用いられ、ときに頚椎カラー(首の装具)を使って安静を保つこともあります(医療機関で頚部を牽引して、圧迫している神経の負担を軽減させる方法が用いられることもあります)。痛みに対しては消炎鎮痛剤を使いますが、痛みが強い場合は神経ブロックを行うこともあります。頚椎症性神経根症は自然に軽快することもありますが、症状が一向に改善されず、日常生活に問題が出るようなら、手術が用いられることもあります。

脊髄症と神経根症はどう見分ける?

頚椎症性脊髄症と頚椎症性神経根症は、名前も原因も似ていますが、「どこが障害されるか」と「症状の出方」に違いがあり、これが見分けるヒントになります。

神経根症は、脊髄から枝分かれした「神経根」という、片側の腕へ向かう神経が圧迫されるため、症状は基本的に「片側」の首・肩・腕・手に出ます。首を後ろに反らすと痛みが強まるのも特徴です。一方、脊髄症は、より中枢に近い「脊髄」そのものが圧迫されるため、症状が両手・両足に及んだり、手先の細かい動作のしづらさ(巧緻運動障害)、歩行時のふらつき、足のもつれといった、より広く・重い症状が出やすくなります。

ざっくり言えば、「片腕のしびれ・痛みが中心」なら神経根症、「両手両足のしびれ・歩きにくさ・手先の不器用さ」なら脊髄症が疑われる、というイメージです。ただし、これはあくまで目安で、実際には症状が重なることもあり、自己判断は危険です。特に脊髄症は、進行すると回復が難しくなることがあるため、早期に正しく診断してもらうことが重要です。手のしびれや細かい作業のしづらさ、歩きにくさを感じたら、放置せず、できれば脊椎を専門とする整形外科を受診しましょう。

首や肩に痛みや不快症状がある場合はまずは医療機関に足を運ぶこと!

このように、頚椎症性脊髄症も頚椎症性神経根症も、治癒までに時間のかかる病気です。なので、焦らず、じっくりと治療を続けていくことが何よりも大切になります。

症状や進行具合によっては、手技療法(整体など)で首や肩の張りが楽になることもありますが、頚椎症は神経に関わる病気であり、特に脊髄症では、強い力で首を動かす施術がかえって症状を悪化させる危険もあります。素人判断をせず、まずは最寄りの医療機関(整形外科)に相談するようにしてください。特に、手足のしびれや力の入りにくさ、歩きにくさ、排尿・排便の障害といった症状がある場合は、放置せず、早めに受診することが大切です。

まとめ

変形性頚椎症は、加齢による頚椎の変形(椎間板の変性・骨棘・靭帯肥厚)が、首の痛みや手のしびれを引き起こす病気です。神経根が圧迫される神経根症は片側の腕の症状が中心で保存療法が主体、脊髄が圧迫される脊髄症は両手両足のしびれや歩行障害・巧緻運動障害が出やすく、手術が必要になることもあります。手足のしびれや歩きにくさ、排尿障害などがある場合は、早めに整形外科を受診しましょう。

参考文献・出典

・日本整形外科学会「頚椎症性脊髄症・頚椎症性神経根症」https://www.joa.or.jp/

・厚生労働省 e-ヘルスネットhttps://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/

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