腰の痛みの原因は?ぎっくり腰のメカニズムについて|原因・対処法・再発を防ぐ予防法を徹底解説

一般に『ぎっくり腰』とは、何らかの原因で突然、腰に強い痛みを感じることをいいます。『ぎっくり腰』とは、腰周辺に激痛を感じる症状を指す通称のようなもので、厳密にいうと医学的な病名ではありません。

正式には『急性腰痛症(きゅうせいようつうしょう)』などと呼ばれ、いわゆる腰の捻挫にあたります。腰に激痛が現れるのが特徴で、あまりの痛さで動けなくなることもあります。

ぎっくり腰とその主な原因

ぎっくり腰というと、突発的な傷害というイメージが強いと思いますが、実は日頃の腰周辺の筋疲労の蓄積が、何かのきっかけにダメージとして現れることが多く、老若男女を問わず発症します。発症するタイミングや症状などには個人差がとても大きく、また、何が原因で痛めたのかが特定できないこともしばしばあります。原因が特定できるケースとしては、以下のようなことがあげられます。

  1. 腰に負担のかかる姿勢を続けたことで、脊柱起立筋などの腰まわりの筋肉が過度に緊張してしまった。
  2. 急激に筋肉を引き延ばしたことにより、筋線維や筋肉の表面を覆っている筋膜(きんまく)が、肉離れのような状態になってしまった。
  3. 腰椎の一部分に負荷が集中して、靭帯や椎間板が損傷してしまった。

ぎっくり腰になってしまったときの安静体位
ぎっくり腰になってしまったときの安静体位

一般に、重い荷物を抱えたことでぎっくり腰になると思っている方も多いようですが、洗顔、くしゃみ、咳などといった日常生活の何気ない動作で発症してしまうこともあります。

症状は人により異なり、軽度のぎっくり腰の場合は、初期に安静にしていれば2〜3日で症状が軽減されることもあります。しかし、この段階で無理をして動き回ったりすると、かえって治りが悪くなり、長期にわたり鈍痛が続くことがあります。また、痛みを軽くしようとして腰をかばう姿勢を続けることが、さらに症状を悪化させる原因につながることもあります。

いずれにせよ、ぎっくり腰になってしまったら、まず、できるだけ安静にするよう心がけ、もし患部に熱感があるようなら、患部を冷やすことも重要です(急性期に温めるのは逆効果になることがあります)。ぎっくり腰の状態で仰向けに寝ると痛みがかえって増すことがあるので、少なくとも強い痛みが治まるまでの間は、横向きになり、胎児のように膝を抱えるような姿勢で休まれることもおすすめします(横向きになって股関節・膝関節を曲げることで、腰椎にかかる負担を軽減でき、痛みを少し和らげることができます。このとき、両膝の間に枕などをはさむのも効果的です)。なお、近年は、痛みが少し落ち着いたら、安静にしすぎず、痛みのない範囲で少しずつ動いた方が回復が早いとされています。

ぎっくり腰の予防法

ぎっくり腰をはじめとする腰痛は、一度やるとクセになるといわれています。確かに、ぎっくり腰を頻繁に繰り返す方はとても多いのですが、この方たちに共通して言えるのは『もともと姿勢があまり良くなく、腰の形状がぎっくり腰を起こしやすい状態になっている』ということです。

例えば、腰椎部分は通常、緩やかに前に凸(前弯)しています。しかし、腰椎部分が何らかの原因で前弯が少なくなってしまったり、後弯(後ろにせり出したフラットバック)の腰の形状になってしまったりしている場合は、常に腰の筋肉や筋膜が引っ張られているので、ぎっくり腰になりやすくなってしまうのです。

逆に、腰椎部分が過剰に前弯している方では、腰部の筋肉の柔軟性が失われている方が多く、常に腰の筋肉が縮こまった状態なので、これもまた、ぎっくり腰を起こす要因になります。このように、ぎっくり腰を起こしやすい腰の形状をしている方は、筋バランス(筋力と柔軟性のバランス)が崩れていて、そもそも姿勢が良くない方が多く、それこそ顔を洗うような何気ない前傾姿勢をとっただけで、腰の筋肉が過剰に引き延ばされてぎっくり腰になってしまうこともあるのです。

筋肉に筋力や柔軟性が十分にあれば問題ない場合が多いのですが、年齢を重ねることや運動不足などによって筋力や柔軟性が失われると、筋肉が緊張しやすくなってしまいます。このため、ぎっくり腰を防ぐためには、日頃から腰や大腿部のストレッチや運動を行って、できるだけ筋肉が緊張しない状態を整えてあげることが大切なのです。

腰部のストレッチ(腰椎が前弯している方向け)
腰部のストレッチ(腰椎が前弯している方向け)

大腿前面のストレッチ(腰椎が前弯している方向け)
大腿前面のストレッチ(腰椎が前弯している方向け)

腹部のストレッチ(腰椎が後弯している方向け)
腹部のストレッチ(腰椎が後弯している方向け)

大腿後面のストレッチ(腰椎が後弯している方向け)
大腿後面のストレッチ(腰椎が後弯している方向け)

その他の予防法

再発を防ぐためには、日常生活でも様々な注意を払う必要があります。例えば、座るときには壁などに寄りかかって膝を抱えたり、あるいは膝を曲げて机に両手をついた姿勢をとったりして、ゆっくり座ることで、腰への負担を軽減させることができます。立ち上がるときも、どこかに手をついてゆっくり動き、階段の昇降の際にも手すりを使うなど、ちょっとした工夫をすることも大切です。

しかしながら、このような動作を日常生活の中で無意識に行うのは、最初はとても難しいと思います。しかし、何度も繰り返し行うことで、やがて無意識にこれらの動作が自然にできるようになります。

また、血行をよくすることも腰痛予防につながります。入浴や適度な運動がとても効果的です。入浴時は、熱い湯に短時間入るのではなく、38〜40℃くらいのぬるめの温度でゆっくり入るのがよいでしょう(ただし、ぎっくり腰をやったばかりの急性期に腰を温めるのは禁忌です)。毎日シャワーで済ませているような人は悪化させやすいので、急性期を過ぎたら、できるだけ頻繁にお湯に浸かって血行を促進するようにしましょう。このことにより、腰だけでなく、全身の血行もよくなります。

ぎっくり腰になった直後の「やってよいこと・避けたいこと」

ぎっくり腰になった直後は、痛みと不安でどうしてよいか分からなくなりがちです。そこで、急性期(発症から数日)の「やってよいこと」と「避けたいこと」を整理しておきましょう。

まず「やってよいこと」は、(1)楽な姿勢(多くは横向きで膝を抱える姿勢)で安静にする、(2)熱感や強い炎症がある最初の時期は患部を冷やす、(3)痛みが少し和らいだら、痛みのない範囲で無理なく動き始める、ことです。近年は、長く寝込みすぎると、かえって回復が遅れたり、筋力が落ちたりすることがわかっており、「動けるようになったら、徐々に普段の生活に戻す」のが基本とされています。

一方「避けたいこと」は、(1)発症直後に腰を温める・マッサージで強く揉む(炎症が悪化することがあります)、(2)痛みを我慢して重いものを持つ・腰をひねる、(3)長期間まったく動かずに寝込み続ける、ことです。また、強い痛みが何日も引かない、脚にしびれや力の入りにくさがある、排尿・排便に異常がある、といった場合は、単なるぎっくり腰ではなく、椎間板ヘルニアなど他の病気が隠れていることもあるため、自己判断せず、整形外科を受診してください。正しく対処すれば、多くのぎっくり腰は比較的早く回復していきます。

まずは、自己判断せず、専門医に必ず診てもらいましょう。

安静にしても症状が治まらなかったり、しびれが出たり、慢性化した痛みが残ったりする場合は、ほかの病気を疑う必要があります。その代表的な病気が『腰椎椎間板ヘルニア』です。椎間板とは、背骨にあるクッションのような働きを担っている部分で、強い負荷がかかると、椎間板の中の髄核という組織が飛び出してくることがあります。これが神経を圧迫することで激痛が生じ、ぎっくり腰のような症状を引き起こすことがあるのです。

もちろん、すべてのぎっくり腰が椎間板ヘルニアを原因としているわけではなく、この2つが全く関係なく別個に生じているケースもあります。正しい診断は専門医に診察してもらわなければ分からないので、痛みが強い・長引く・しびれを伴う場合などは、自己判断せずに必ず医療機関を受診し、治療を始めるようにしましょう。

まとめ

ぎっくり腰(急性腰痛症)は、日頃の筋疲労の蓄積が、何気ない動作をきっかけに激痛として現れる「腰の捻挫」です。受傷直後は楽な姿勢で安静にし、熱感があれば冷やすのが基本で、急性期に温めるのは逆効果です。姿勢や筋バランスの乱れが再発の要因となるため、腰や太もものストレッチが予防に有効です。痛みが長引く・しびれを伴う場合は、椎間板ヘルニアなどの可能性もあるので、早めに医療機関を受診しましょう。

参考文献・出典

・日本整形外科学会https://www.joa.or.jp/

・厚生労働省 e-ヘルスネットhttps://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/

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