ミルグラムテスト(Milgram’s test)とは|腰椎椎間板ヘルニアを調べる自動検査の方法と髄腔内圧・骨・関節の仕組みを徹底解説

ミルグラムテスト

目的

椎間板ヘルニアの検査には、下記のように何種類かのテストがあります。

  1. 下肢挙上テスト(Straight leg raise)
  2. 変形下肢挙上テスト Ⅰ(シカール徴候)
  3. 変形下肢挙上テスト Ⅱ(ブラガード徴候)
  4. 変形下肢挙上テスト Ⅲ(ボンネー徴候)
  5. 変形下肢挙上テスト Ⅳ

これらのテストは、術者が患者さんの足を持ち上げるなどして検査する方法で、検査は他動的(他人=術者の力を利用して行うという意味)に行われます。これに対し、ミルグラムテストは患者さん自らの意思で行う自動的なテストになります。

両膝を伸ばしたまま、両足をベッドから少し(約5cmほど)持ち上げ、可能な限りこの姿勢を保つように指示します。この姿勢を維持できなかったり、テストの早い段階で疼痛が起きてしまった場合は陽性反応で、『腰椎椎間板ヘルニア』などにより髄膜(神経を包む膜)に圧がかかっている状態が疑われます。実際、腰椎椎間板ヘルニアの患者さんの場合は、痛みのためにこのテストを行うのが困難なことが多いようです。

実施方法

1. 患者さんを仰臥位(あおむけ)にさせます。
2. 検者は患者さんに、両膝を伸ばしたまま、両足を揃えて踵を床から15〜20cmの高さまで持ち上げ、その姿勢を保つように指示します。

ミルグラムテスト
ミルグラムテスト(Milgram’s test)

なお、この両脚を挙げて保持する姿勢では、腸腰筋や前腹壁の筋肉(腹筋群)が緊張し、腹腔内圧、ひいては髄腔内圧(脊髄を包むくも膜下腔の圧)が高まります。

結果の評価

このテストで、患者さんが脚を5〜7.5cm程度しか持ち上げられない、あるいは30秒以上、腰痛を引き起こさずに姿勢を保持するのが不可能であれば、陽性反応とみなされます。陽性の場合、腰椎椎間板ヘルニアなどが疑われます。

逆に、痛みなく30秒間保持できる場合は、髄膜の内側(硬膜内)の病変は比較的考えにくい、と判断する材料になります。ただし、これはあくまで補助的な検査であり、確定診断にはMRIなどの画像検査が必要です。

参考

ミルグラムテストは、腹直筋などの腹筋の筋力が正常に機能しているかどうかを調べるときに使われることもある検査です。腹筋によるサポート力が低下していたり、股関節を曲げる筋肉である大腿直筋・腸腰筋が硬い方だと、ヘルニアがなくてもこのテストの実施(姿勢の保持)が困難になることがあります。そのため、陽性だからといってすぐにヘルニアと決めつけず、他の所見と合わせて総合的に判断する必要があります。

SLRなど他のテストとの違い・組み合わせ方

ミルグラムテストの大きな特徴は、術者が脚を動かす他動的なSLRテストなどと違い、患者さん自身が両脚を挙げて保持する「自動的」な検査である点です。両脚を挙げることで腹圧・髄腔内圧が高まり、髄膜やその周囲に病的な圧がかかっている場合に症状が誘発されます。

一方、SLRテストは脚を他動的に挙げて坐骨神経・神経根を引き伸ばし、神経根の圧迫(坐骨神経痛)を調べるものです。このように、それぞれのテストは「みている仕組み」が異なるため、複数のテストを組み合わせることで、腰や脚の痛みの原因をより正確に絞り込むことができます。なお、これらの徒手検査はあくまで原因を推測するための補助的なものなので、腰や脚の痛み・しびれが続く場合は、自己判断せず整形外科などの医療機関を受診することが大切です。

ミルグラムテストのまとめ

ミルグラムテストは、あおむけで両脚を伸ばしたまま挙げて保持し、髄腔内圧の上昇から腰椎椎間板ヘルニアなどを調べる「自動的」な徒手検査です。30秒保持できない、または早い段階で腰痛・下肢痛が出れば陽性で、髄膜に圧がかかる病変が疑われます。腹筋力や股関節の柔軟性にも影響されるため、SLRなど他の検査と組み合わせて判断します。確定診断には画像検査が必要なので、症状が続く場合は医療機関の受診をおすすめします。

参考文献・出典

・日本整形外科学会「腰椎椎間板ヘルニア」https://www.joa.or.jp/

・厚生労働省 e-ヘルスネットhttps://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/

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