トレンデレンブルグテスト(Trendelenburg’s test)とは|中殿筋の機能と骨盤の傾きを調べる検査の方法・股関節の仕組みを徹底解説

トレンデレンブルグテスト

目的

立位で股関節膝関節を曲げて片脚立ちになると、骨盤が左右にブレてしまい、正しい姿勢をキープできないことがあります。原因はいろいろ考えられますが、一番メジャーな理由としては、骨盤の横ブレを防ぐ筋肉でもある中殿筋の筋力低下です。

中殿筋は、直立姿勢のときに小殿筋とともに、骨盤を横方向から安定させる(支える)筋肉です。例えば、歩行中に体重が片足にかかったときに、反対側に骨盤が傾かないように保持するのが中殿筋の役割です。

もし、この中殿筋に障害や機能不全が起こると、『トレンデレンブルグ現象(徴候)』が起こります。トレンデレンブルグ現象とは、中殿筋や小殿筋が機能不全を起こしているときに主に見られる兆候で、歩行時や片足立ちの際に骨盤を水平に保つことができなくなり、足を持ち上げている側(遊脚側)に骨盤が下がってしまうものです。さらに、その代償として、頭部と体幹を、足が地面に接地している側(支持脚側)へ傾けてバランスを取ろうとすることもあります。

実施方法

1. 患者さんを立位にさせます。このとき両足を揃え、膝はなるべく曲げないようにします。
2. 検者は、調べたい側(患側)の足を軸足にして、ゆっくりと反対側(健側)の足を持ち上げて片脚立ちになるように指示します。

トレンデレンブルグテスト
トレンデレンブルグテスト(Trendelenburg’s test)

3. このとき検者は、患者さんがバランスを崩して倒れないように、真横に立っておきます。
4. 同様に、反対側の足でも実施します。

結果の評価

このテストで、片足を持ち上げたときに、持ち上げた側(遊脚側)の骨盤が下がって大きく傾いてしまったら、陽性反応とみなされます。

ポイントは、「立っている側(支持脚側)の中殿筋」が働いて骨盤を支えているという点です。つまり、軸足にした側の中殿筋が弱いと、反対側(持ち上げた側)の骨盤を持ち上げて水平に保てず、その側が下がってしまうのです。左右それぞれで実施し、どちら側を軸足にしたときに骨盤が傾くかを確認します。なお、片脚立位を30秒ほど保持して観察する方法もよく用いられます。

参考

中殿筋は、主に上殿神経(L4〜S1あたり)に支配されているので、中殿筋がうまく作用しないということは、そのあたりの神経に何かしらの問題が生じていることが疑われる場合もあります。ただし、歩行時や片足立ちがうまくできないのは、必ずしも神経的な問題とは限らず、単純に中殿筋の筋力が衰えてしまっているだけのこともあります。

また、中殿筋の拮抗筋である内転筋群(大内転筋短内転筋長内転筋恥骨筋薄筋)が機能不全を起こしていても、やはり片足立ちをうまくキープできないことがあります。このため、中殿筋や内転筋群を適切に鍛えることで、片足立ちがうまくできるようになる場合もあります。

トレンデレンブルグ徴候が出るとどんな歩き方になるのか

中殿筋の弱化が強いと、歩いているときにも特徴的な歩き方が現れることがあります。片足に体重が乗る立脚期に、反対側の骨盤を支えきれずに骨盤が下がり、それを補うように上体を支持脚側へ傾けて歩く——この歩き方は「トレンデレンブルグ歩行(墜下性跛行)」と呼ばれます。左右ともに中殿筋が弱い場合は、左右に体を振りながら歩く「あひる歩行(動揺性歩行)」になることもあります。

中殿筋の弱化は、加齢や運動不足、長期の安静のほか、変形性股関節症や股関節の手術後、先天性股関節脱臼などでもみられます。片足立ちでふらつく、歩くときに体が左右に揺れるといったことが気になる場合は、自己判断せず、整形外科などの医療機関や専門家に相談することが大切です。

トレンデレンブルグテストのまとめ

トレンデレンブルグテストは、片脚立ちで支持脚側の中殿筋・小殿筋の機能を調べる検査です。軸足にした側の中殿筋が弱いと、持ち上げた側(遊脚側)の骨盤が下がってしまい、これが陽性所見となります。中殿筋の弱化や上殿神経の障害などが疑われ、放置すると独特の歩き方(トレンデレンブルグ歩行)につながることもあります。中殿筋や内転筋を鍛えることで改善する場合もありますが、気になる症状が続く場合は医療機関への相談をおすすめします。

参考文献・出典

・日本整形外科学会https://www.joa.or.jp/

・厚生労働省 e-ヘルスネットhttps://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/

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