骨は単独で動くことはできません。
隣接しあう骨と骨が連結して関節を構成することで、互いに動くことが可能となります。
しかしその動きの源は別にあります。
動力源はいうまでもなく筋肉(骨格筋)です。
関節は大きく『動く関節』と『ほとんど動かない関節』とに大別することができます。
我々が一般的にいう関節は『動く関節』のことで、正式には『可動結合(可動性連結)といいます。
一方、ほとんど動かない関節を『不動結合(不動性連結)』と言います。
関節の可動結合とその基本構造
可動結合(可動性連結)の関節は、骨の連結部分が関節包と呼ばれる袋に包まれていて、その内部には関節腔(かんせつくう)という隙間があります。
関節包は連結する骨と骨をつなぐ靭帯(線維質に富んだ組織で、関節においては骨と骨を強く結びつけ、関節の安定性を保っている組織です)によって補強され、骨の位置がズレないように固定されています。
関節腔内部は滑液(かつえき)と呼ばれる物質で満たされています。
潤滑油の働きをする粘着性のある滑液があることで関節を滑らかに動かすことができるのです。
骨同士が対面する関節面はゲル状の硝子軟骨(しょうしなんこつ)である関節軟骨(かんせつなんこつ)で覆われています。
関節軟骨は一般に体重を支える必要がある関節では厚くなっていますが、体重があまりかからない関節ではそれほど厚くはありません。
加齢や負荷のかかり過ぎなどにより次第にこの部分は擦り減っていきます。
また、関節によっては、関節腔内に関節円板、関節半月とよばれる線維軟骨が存在します。
これらは関節の空間を埋め、関節を形作っている2つの骨の接触面積を広め、荷重を分散することで関節にかかる衝撃を和らげる働きをしています。
脊柱の椎骨と椎骨にある関節円板を『椎間板(ついかんばん)』といい、大腿骨と脛骨の間にある関節半月を『半月板(はんげつばん)』といいます。
これらが損傷したり摩耗すると軟骨や骨が直接接触するようになるので関節が痛むようになります。
可動結合の分類
可動関節(可動性連結)は、関節面の形状によって、6つのタイプに分類されます。
タイプによって、それぞれ異なる特徴をもち、可動範囲だけでなく可動できる方向もそれぞれにの関節によって異なります。
楕円関節
関節の一方が楕円形の関節です。
代表的なものに橈骨手根関節があります。
関節可動域は球関節と同様に広い反面、関節面の連結する面積が小さいため連結強度はあまり強くありません。
車軸関節
円柱状の関節頭が車軸となり、関節窩の凹面と連結したまま回旋することで可動する1軸性関節です。
代表的なものに上橈尺関節があります。
平面関節
関節窩と関節頭がともに平面の関節で多方向に狭い可動域で働きます。
代表的なものに胸鎖関節、椎間関節などがあります。
鞍関節
関節嵩と関節頭がともに鞍(くら)のような形状をした関節です。
縦軸と横軸が交差する2軸性関節で、前後と左右に可動します。
代表的なものに手根中手関節、足根中足関節などがあります。
これら6種類の関節のうち、屈曲・伸展の方向のみに可動する膝関節、肘関節のような関節を『1軸性関節』と呼びます。
それに対し、前後(掌屈・背屈)と左右(橈骨・尺屈)の2方向に動く橈骨手根関節のような関節を『2軸性関節』、腕をグルグル回すことができる肩関節のように、3方向以上に可動する関節は『多軸性関節』とよばれる。
不動結合とは
不動結合と言いながらも実際にはわずかに可動している関節です。
不動結合は大きく『線維結合(線維性連結)』、『「軟骨結合(軟骨性結合)』、『骨結合』の3種類があります。
①線維結合
代表的な不動結合には骨盤の仙腸関節があります。
骨盤の中央には仙骨(せんこつ)・尾骨(びこつ)があり、左右両端には寛骨(かんこつ)があります。
仙骨と寛骨では『仙腸関節(せんちょうかんせつ)』と呼ばれる関節があり、その周りには多くの靭帯が存在して一見して動かないようにも見えますがある限度をもって動いています。
仙腸関節は動かないと明言している方もいるようですが、数多くの靭帯があることから考えても仙腸関節は動かないのではなく、僅かに動いている関節なのです。
②軟骨性結合
骨と骨が軟骨によって結合する『軟骨結合(軟骨性結合)』です。
代表例として恥骨と恥骨を線維軟骨で結ぶ恥骨結合がこれにあてはまります。
③骨結合
骨と骨が完全に結合(癒合する)したものを『骨結合』といいます。
仙骨における仙椎、尾骨などは骨結合です。