スウェイバック姿勢とは|骨盤が前に出る不良姿勢の原因・改善ストレッチと筋トレを徹底解説

スウェイバック姿勢は、一昔前まで「疲労姿勢」とも呼ばれていました。中高年の人に多くみられ、見た目に覇気のない、疲れきった印象を与えることから、この名称がつけられていました。スウェイバックという語源は、ボクシングのディフェンス技術の一つで、上体を後ろに反らして相手のパンチをかわす姿勢に似ていることに由来します。

スウェイバック姿勢は、横から見たとき、骨盤が前方に突き出し、それとバランスをとるように、上体(胸から上)が後方に倒れ込み、頭が前に出ているのが特徴の不良姿勢です。基本的には、猫背(胸椎後弯)と、腰のカーブが失われたフラットバック(腰椎後弯傾向)が組み合わさったパターンで、腹直筋・腸腰筋・大腿直筋の筋力低下や、筋肉のアンバランスが原因になることがあります。

猫背・フラットバックについては、猫背+反り腰猫背+フラットバックの項で詳しく解説しているので、そちらを参照してください。

また、スウェイバック姿勢は、膝が常に軽く曲がった状態にあり(このため、ハムストリングスやふくらはぎがかなり硬くなってしまっている)、かつ、正しい姿勢に比べて、全体に骨盤の下部が前に突き出ているのが特徴です。頭部が前に突き出て、脊柱全体が大きく後弯しているため、長期にわたってこの姿勢が定着すると、脊柱の靭帯(棘間靭帯・棘上靭帯)が過度に引き伸ばされ、背中から腰にかけての痛みが生じるようになります。

後弯してしまった腰椎
後弯してしまった腰椎

基本的に、骨盤全体の後傾が強くなって、腰椎の前弯(自然なカーブ)が失われるため、猫背+フラットバックのときと同様に、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの構造的な疾患のリスクも高くなります。これにより、下肢を支配している神経根を圧迫してしまい、お尻や太もも裏・ふくらはぎの、しびれや痛みを引き起こすこともあります。また、この姿勢は、ほかの猫背を伴う姿勢に比べて、胸椎の後弯が強いため、肩関節に負担がかかりやすく、四十肩・五十肩を患いやすくなるとも言われています。

スウェイバック姿勢はどのようにしてなるのか?

スウェイバック姿勢
※ スウェイバック姿勢

スウェイバック姿勢は、身体の前後の筋肉のバランスが崩れることで起こります。具体的には、前側の前鋸筋・小胸筋(大胸筋を含む)が、背中側の僧帽筋中部・菱形筋より強く(硬く)なりすぎたり、背中の脊柱起立筋が腹直筋より強くなりすぎたり、お尻のハムストリングス・大臀筋が、骨盤前側の腸腰筋・大腿四頭筋(大腿直筋)より強くなりすぎたりすると、バランスが崩れて、スウェイバック姿勢になってしまうのです。

※ 図において、ショートサイド(強く・硬い側)は赤色、ロングサイド(弱く・伸びている側)は青色で表しています。

一般に、ショートサイド側は、筋力は強いが柔軟性が劣っている傾向にあり、ロングサイド側は、柔軟性は優れているが筋力が劣っている傾向にあります。

スウェイバック姿勢を改善するためには、後傾している骨盤を、本来の位置に近づけることが大切です。そのために、硬くなった大臀筋・ハムストリングスをストレッチすることはもちろん、弱くなった腹直筋・腸腰筋・大腿四頭筋の筋力トレーニングを、積極的に行うことがとても重要になります。また、ふくらはぎ(下腿三頭筋:腓腹筋・ヒラメ筋)が硬くなっている場合も多いので、その場合は、ふくらはぎのストレッチも取り入れる必要があります。

いずれにせよ、姿勢改善のための運動を行う前に、自分がどういう姿勢タイプなのかを把握したうえで、エクササイズやストレッチを行うようにしましょう。

スウェイバック姿勢をどう改善していけば良いのか?

スウェイバック姿勢を改善・予防するには、適切なトレーニングを行う必要があります。ショートサイド(強く・硬い傾向にある筋肉)側は主にストレッチを、ロングサイド(柔らかく・弱い傾向にある筋肉)側は主に筋力トレーニングを実施するのが基本です。

ショートサイド側(ストレッチ)

胸部のストレッチ
②胸部のストレッチ

腰部のストレッチ
④腰部のストレッチ

臀部のストレッチ
⑥臀部のストレッチ

大腿部後面のストレッチ
⑧大腿部後面のストレッチ

下腿部後面のストレッチ
⑨下腿部後面のストレッチ

ロングサイド側(筋力トレーニング)

上背部の筋力トレーニング
②上背部の筋力トレーニング

腹部の筋力トレーニング
③腹部の筋力トレーニング

腸腰筋の筋力トレーニング
⑤腸腰筋の筋力トレーニング

大腿部前面の筋力トレーニング
⑦大腿部前面の筋力トレーニング

スウェイバック姿勢は「楽な立ち方」が招く|日常の意識で防ぐ

スウェイバック姿勢が厄介なのは、本人にとっては「力を抜いた、楽な立ち方」であるため、無意識のうちに、その姿勢が習慣化してしまう点です。だからこそ、日常のちょっとした意識が、改善と予防のカギになります。

スウェイバック姿勢になりやすいのは、片足に体重を乗せて、お腹を前に突き出すように、だらっと立つ「休めの姿勢」です。これは、筋肉をあまり使わず、骨盤を前に突き出して、靭帯にもたれかかるような立ち方で、一見、楽ですが、特定の関節や靭帯に負担を集中させてしまいます。長年続けると、本文で述べたように、腰背部の痛みや、ヘルニア・五十肩のリスクを高めることになります。スマホを見るときに、お腹を突き出して立つクセがある方は、特に注意が必要です。

これを防ぐには、立つときに「お腹を軽く引き締め、骨盤を前に突き出さない」ことを意識するのが第一歩です。耳・肩・股関節・くるぶしが、横から見て一直線に近くなるような立ち方を心がけましょう。あわせて、本文で紹介したストレッチ(硬い胸・お尻・もも裏・ふくらはぎ)と筋トレ(弱い腹筋・もも前)を続けることで、姿勢を支える筋肉のバランスが整い、楽に良い姿勢を保てるようになります。なお、すでに腰や足のしびれ・痛みを伴う場合は、ヘルニアや脊柱管狭窄症が隠れていることもあるため、自己流で頑張りすぎず、整形外科に相談しましょう。

まとめ

スウェイバック姿勢は、骨盤が前に突き出し、上体が後ろに倒れて頭が前に出る不良姿勢で、猫背とフラットバックが組み合わさったタイプです。前後の筋肉のアンバランスが原因で、腰背部痛やヘルニア、五十肩のリスクを高めます。改善には、硬い筋肉(胸・お尻・もも裏)のストレッチと、弱い筋肉(腹筋・もも前)の筋トレが有効です。腰や足のしびれを伴う場合は、整形外科に相談しましょう。

参考文献・出典

・日本整形外科学会https://www.joa.or.jp/

・厚生労働省 e-ヘルスネットhttps://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/

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