胸骨(きょうこつ)|胸の中央の骨のしくみ・胸鎖関節と胸肋関節、肋骨との連結を徹底解説

胸骨(きょうこつ)

英語名称

sternum(スターナム)

解説

胸骨は、胸部の中央に位置する扁平な骨で、上から胸骨柄(きょうこつへい)、胸骨体(きょうこつたい)、剣状突起(けんじょうとっき)の3つの部分で構成され、それぞれ軟骨で結合されています。しかし、高齢になると、この結合部分の軟骨が骨化(こつか:硬い骨に変化)してしまう方もいます。

胸骨はやや前方へ弯曲しており、肋軟骨を介して肋骨と連結し、胸肋関節(きょうろくかんせつ)を構成しています。また、上端では鎖骨と連結して、胸鎖関節(きょうさかんせつ)を構成しています。この胸鎖関節を介して、体幹と上肢(腕)がつながっているのです。胸骨は、左右の肋骨とともに、心臓や肺といった大切な臓器を、前面から守る役割も担っています。

胸骨は薄い扁平骨なので、強い衝撃で骨折しやすい場所でもあります。CPR(心肺蘇生)の胸骨圧迫を行うときに、剣状突起の骨折を避けるため、左右の肋骨縁が交わる場所から少し上(胸の真ん中)を圧迫するのは、このためです。

主に起始する筋肉

大胸筋胸鎖乳突筋、胸骨舌骨筋、胸骨甲状筋、横隔膜

主に停止する筋肉

腹直筋腹横筋

主に構成する関節

胸鎖関節、胸肋関節

主な傷害

胸骨骨折、剣状突起骨折、胸肋関節炎(肋軟骨炎)など

胸骨は「心臓・肺を守る盾」であり「腕と体幹をつなぐ要」

胸骨は、胸の中央にある一本の平たい骨ですが、実は2つのとても重要な役割を担っています。「内臓を守る盾」としての役割と、「腕を体幹につなぐ要」としての役割です。この2つを知ると、胸骨の大切さが見えてきます。

1つ目は、内臓を守る働きです。胸骨は、背中の胸椎、そして左右の肋骨と組み合わさって、「胸郭(きょうかく)」というかご状の骨格をつくります。この胸郭が、心臓や肺といった、生命に直結する臓器を、ぐるりと囲んで衝撃から守っているのです。胸骨は、その胸郭の「正面の壁」を担う、重要なパーツです。2つ目は、腕と体幹をつなぐ働きです。実は、腕の骨格(肩甲骨や鎖骨)と、体幹の骨格が、骨と骨で直接つながっているのは、胸骨と鎖骨の間にある「胸鎖関節」、ただ一か所だけです。つまり、私たちの腕は、この小さな胸鎖関節を介して、胴体にぶら下がっているともいえます。だからこそ、腕を大きく動かすときには、この胸鎖関節も連動して動いているのです。

胸骨に関わるトラブルとしては、交通事故などの強い衝撃による「胸骨骨折」のほか、胸骨と肋骨のつなぎ目(肋軟骨)に炎症が起きて、胸の前が痛む「肋軟骨炎(肋軟骨症)」などがあります。胸の前の痛みは、心臓の病気と区別が必要なこともあるため、強い胸の痛みや、息苦しさを伴う場合は、自己判断せず、速やかに医療機関を受診してください。

まとめ

胸骨は、胸の中央にある扁平骨で、胸骨柄・胸骨体・剣状突起からなります。肋骨と胸肋関節、鎖骨と胸鎖関節を構成し、胸椎・肋骨とともに胸郭をつくって心臓や肺を守ります。胸鎖関節は、腕と体幹を骨でつなぐ唯一の関節です。胸の前の痛みは心臓の病気との区別が必要なこともあるため、強い痛みや息苦しさを伴う場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。

参考文献・出典

・日本整形外科学会https://www.joa.or.jp/

・厚生労働省 e-ヘルスネットhttps://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/

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