人間の骨格は約200個を超える骨から成り立っています。
そして筋肉を動力源として、それらの骨が関節を介して動くことであらゆる運動を行うことができるのです。

骨の最も重要な役割は身体を支えることですが、骨にはこれ以外にも実に様々な役割があります。

骨の様々な重要な役割

骨には『1.支持作用』、『2.保護作用』、『3.運動作用』、『4.造血作用』、『5.貯蔵作用』といった5つの役割があります。

  1. 支持作用
    200個以上ある骨が骨格を形成することで身体全体を支えます。
  2. 保護作用
    いくつかの骨が組み合わさって頭蓋骨、胸郭、骨盤を形成し、その中に脳や内臓などの重要な器官を納めて保護します。
    骨にはこのように外部からの衝撃などから臓器を護る役割があります。
  3. 運動作用
    成人にはふつう206個の骨があり、それらが関節を作り出します。
    しかし、骨や関節自体が動くわけではなく、筋肉が伸縮することで身体を自由に動かすことができるのです。
  4. 造血作用
    骨の『骨髄(こつずい)』と呼ばれる場所で赤血球、白血球、血小板などが造られています。
    もし、何らかの問題で骨髄の働きが悪くなってしまうと血球が造られなくなり身体に様々な悪影響がもたらされます。
  5. 貯蔵作用
    骨の骨質(こつしつ)と呼ばれる部分にカルシウムやリンを蓄えます。
    特に力ルシウムは99%が骨の中に含まれていると言われていて、血液中の1%のカルシウムが不足すると骨から補給しようとします。
    また、髄腔と呼ばれる場所では脂肪を貯蔵しています。

骨の形状による分類

骨の形状による分類

骨の形状による分類

骨は見た目の形状から大きく、長い骨(長管骨、または長骨)、短い骨(短骨)、平たい骨(扁平骨)の3種類に分類することができます。
長い骨は腕や大腿、短い骨は手や足の甲、平たい骨は頭蓋骨、骨盤、肩甲骨などにみられます。

  1. 長管骨(ちょうかんこつ)
    骨と言えば、まず真っ先に大腿骨を思い浮かべる方は多いのではないでしょうか?
    大腿骨は長管骨の一つで長管骨は長骨(ちょうこつ)とも呼ばれています。
    上肢や下肢において軸となる長い骨で、骨の幹にあたる部分の内部が空洞になっていることから、管状骨(かんじょうこつ)と呼ばれることもあります。
  2. 短骨
    短骨は長管骨に比べ、非常に短く、骨によっては骨端部(こったんぶ)と骨幹部(こっかんぶ)の判断をするのがとても困難な骨です。
    いわゆる手根骨、足根骨はこの短骨が多数集まることで形成されます。
  3. 扁平骨
    扁平骨は肩甲骨に代表される板状の扁平な骨です。
    肋骨は細長いので長管骨と思われがちですが、分類上はこの扁平骨にあたります。

長管骨の外部構造

長管骨の外部構造

長管骨の外部構造

長管骨の幹にあたる部分は骨幹部(こっかんぶ)と呼ばれ、その両端にある骨幹部より太くなっている部分を骨端部(こったんぶ)といいます。
成長期に長管骨のレントゲンを撮ると骨幹部と骨端部の間に線がみえることがあります。

これを骨端線(こったんせん)といい、これはいわゆる『成長軟骨(せいちょうなんこつ)』です。
成長期の頃、レントゲンを撮ると線のように見えることから単に成長線(せいちょうせん)と呼ぶこともあります。
成長軟骨が活性化することで骨の長さが長くなります。

長管骨の内部構造

骨は主にリン酸カルシウム、炭酸カルシウムなどの無機塩類と有機物(コラーゲン)から構成されていて、基本的に軽くて折れにくい構造をしています。
骨の外側は骨膜(こつまく)によって覆われていて、その内部には骨皮質(緻密骨)、更にその内部には骨髄(こつずい)があります。

長管骨の内部構造

長管骨の内部構造

  • 骨膜
    骨膜は二層から成り立っていて内側を『骨形成層(こつけいせいそう)』、外側を『線維層(せんいそう)』と呼びます。
    骨形成層は小児期においては非常に活発に活動をしますが、成人では骨折や感染などがない限り活発に働くことはありません。
    骨の太さが太くなるのはこの骨形成層の働きが活発になるからです。
    また、骨膜には血管による『骨の栄養』、『骨の保護』、『神経により痛みを知覚させる』という大切な役割があります。
  • 骨皮質(緻密骨)
    骨皮質は非常に硬く、身体を支える柱のような役目を果たしています。
    骨皮質には縦横に走る管があり、その中を血液が流れ、骨そのものに栄養を与えています。
    縦の管を『ハーバース管』、横の管を『フォルクマン管』と言い、この両者を合わせてオステオン(骨単位)といいます。
  • 骨髄
    骨髄は骨の最も内部にあり、この部分には海綿骨(海綿質)と呼ばれる非常に柔らかい組織があります。
    この部分で赤血球をはじめとする血球が造られています。

骨のリモデリング

骨には骨を破壊する役割を果たす『破骨細胞(はこつさいぼう)』と骨を作る役割を果たす『骨芽細胞(こつがさいぼう)』があり、健常人ではその2つの細胞がうまくバランスを取り合いながら活動しています。
このように破骨細胞と骨芽細胞は血中のカルシウム濃度を一定に保つためにも重要な役割を果たしています。
破骨細胞があるところまで骨を壊していくと、次に骨芽細胞が壊れた部分を修復しようと働くので骨塩量は変化することなく常に一定量を保たれているのです。
このように骨が常に新陳代謝を繰り返し、古い骨が新しい骨へと作り変えられることを『骨のリモデリング』といいます。
もし、何らかの事情で破骨細胞と骨芽細胞のバランスが崩れたり、カルシウムの摂取が不足したりすると骨芽細胞の働きが悪くなり骨密度が低下していきます。
このように骨量が減り、骨がもろくなってしまう病気を『骨粗鬆症(こつそしょうしょう)』といいます。






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当サイトの編集長の佐藤伸一(さとうしんいち)です。
都内でトレーナーとして約20年活動し、その後、カイロプラクターとして約10年活動していました。
現在はフリーランスで活動していて主に健康や運動に関する情報を発信しています。

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