股関節は肩関節と同じ球関節で前後、左右、捻りと3次元のあらゆる方向に動かすことができます。
但し、股関節は肩関節は構造や靭帯による結合が硬いため脱臼などを起こしにくいのが大きな特徴です。
股関節の基本的な可動域
屈曲-伸展
写真のように大腿部を腹部側に引き上げることを屈曲といいます。
股関節の屈曲に関わる代表的な筋肉として腸腰筋(大腰筋、腸骨筋)、大腿直筋、縫工筋などがあげられます。(大腿直筋は膝関節を伸展させたまま股関節を屈曲するときに強く作用します)
伸展は屈曲された大腿部を下垂状態に戻すことをいいます。(0°を超えて更に後ろに伸展させることを過伸展といいます)伸展に関わる代表的な筋肉として大臀筋、ハムストリングス(半腱様筋、半膜様筋、大腿二頭筋)があげられますが大臀筋は特に大きな負荷が加わった状態で股関節を伸展させたり、過伸展させたりするときに大きな力を発揮します。
内転-外転
写真のように開いた脚を付け根から内側に閉じる動きを内転といいます。
内転に関わる代表的な筋肉として内転筋群(大内転筋、長内転筋、短内転筋、恥骨筋、薄筋)などがあげられますが、これらの筋肉は外転筋の拮抗筋として片足で立ったときの左右のバランスをとる働きを担っています。脚を付け根から外に開く動作を外転といいます。
股関節の外転に関わる代表的な筋肉として中臀筋、小臀筋、大腿筋膜張筋、大臀筋などがあげられます。
これら外転に関わる筋肉はまとめて外転筋群とも呼ばれることもあります。
単に大腿部を側方に挙上させるだけでなく、骨盤の左右の安定性をはかる筋肉でもあります。
内旋-外旋
写真のように親指を外側から内側に向くように捻ることを内旋といいます。
股関節の内旋に関わる代表的な筋肉として小臀筋、大腿筋膜張筋などがあげられます。
外旋は親指を内側から外側に向くように捻ることをいいます。
外旋に関わる代表的な筋肉として外閉鎖筋、内閉鎖筋、上双子筋、下双子筋、梨上筋、大腿方形筋)、などがあげられます。
また、大臀筋も股関節の外旋に関与しています。これらの筋肉はまとめて外旋六筋と呼ばれることもあります。
これら外旋六筋は運動やそれに伴うすねの障害を予防する上でとても重要な筋肉群です。
外旋六筋が弱いと膝が内側を向いてしまい、膝関節や下肢に捻りが生じて膝や足首に負担が掛かってしまうからです。