下肢挙上テスト(SLR/Straight leg raise)とは|坐骨神経痛・椎間板ヘルニアを調べる検査の方法と骨・関節の仕組みを徹底解説

SLR,下肢拳上テスト

目的

下肢挙上テストは、英語ではStraight Leg Raise(ストレートレッグレイズ)テストといい、その頭文字をとって単にSLR(エスエルアール)と呼ぶことがあります。フランスの医師の名にちなんで「ラセーグテスト」とも呼ばれます。

下肢挙上テストは、整形外科的検査法の中で最も多用されるテストの一つで、主に坐骨神経の神経根症状を誘発するテストとして用いられたり、単にハムストリング(半腱様筋半膜様筋大腿二頭筋の総称)の柔軟性を調べるときなどにも用いられます。

実施方法

  1. 患者さんを仰臥位(あおむけ)にさせます。
  2. 検者は患者さんの患側に立ち、患者さんの踵を包み込むように持ちます。
  3. 膝関節を伸展させたまま、徐々に股関節を屈曲させていきます(脚をまっすぐ挙げていきます)。
  4. 患者さんが痛みを訴えたところで、下肢の挙上動作を停止し、そのときの角度を記録します。

下肢挙上テスト(Straight leg raise)
下肢拳上テスト(Straight leg raise)

結果の評価

  • 股関節の屈曲角度が35°〜70°の範囲で、臀部・大腿部後面に局所的な痛みがはしったり、坐骨神経の経路に沿って広がるような痛み(放散痛)が生じたりした場合は、陽性反応とみなします。
  • 陽性反応が生じた場合、坐骨神経を構成する神経根(主に第4腰椎〜第1仙骨神経根:L4〜S1あたり)が圧迫されていることを疑います。
  • 股関節を70°まで屈曲しても痛みが再現されない場合は、テストは陰性となります。また、35°程度までは坐骨神経にあまり負荷がかからないため、仮に痛みが出ても35°以内であれば、坐骨神経の伸張による陽性とはみなしません(別の原因を考えます)。
  • SLRで陽性反応が生じても、必ずしも椎間板ヘルニアであるとは限りません。脊柱管狭窄症や腰椎すべり症など、他の原因のこともあります。
  • 左右で行い、左右差を比較することも大切です。

参考

SLRテストを行った際には、坐骨神経の経路に沿って神経症状が誘発されているのか、それともハムストリングの柔軟性の低下が原因で痛みが出ているのかを、明確に判断する必要があります。

臀部やハムストリング下腿三頭筋などに放散するような痛み(しびれを伴うこともある)が生じた場合は坐骨神経痛を疑い、膝の後面に「つっぱる」ような鈍い痛みが生じた場合は、ハムストリング腓腹筋の柔軟性の低下によるものと判断します。坐骨神経痛が疑われる場合は、腰椎椎間板ヘルニアなどを疑います。

なぜ脚を挙げると坐骨神経痛がわかるのか・変形SLRとの関係

坐骨神経は、腰やお尻から太ももの裏、ふくらはぎ、足先までつながる、ヒトで最も太く長い末梢神経です。膝を伸ばしたまま脚を挙げていくと、この坐骨神経が引き伸ばされます。椎間板ヘルニアなどで神経根が圧迫されていると、神経が引っ張られた刺激によって、お尻から脚の後ろに放散する痛み(坐骨神経痛)が誘発されます。これがSLRテストで坐骨神経痛がわかる仕組みです。

SLRが陽性のとき、その痛みが本当に神経由来なのかをさらに確かめたり、原因部位を絞り込んだりするために、「変形下肢挙上テスト(変形SLR)Ⅰ〜Ⅳ」が用いられます。たとえば、足関節や母趾を背屈させて坐骨神経をさらに伸張させるブラガード徴候シカール徴候、股関節の内転・内旋/外旋で梨状筋の関与をみるボンネー徴候変形SLRⅣなどがあり、SLRと組み合わせることで、坐骨神経痛の原因(神経根性か、梨状筋など末梢性か)をより詳しく推測できます。

ただし、これらの徒手検査はあくまで補助的なもので、確定診断にはMRIなどの画像検査が必要です。お尻から脚にかけての痛みやしびれが続く場合は、自己判断せず、整形外科などの医療機関を受診することが大切です。

下肢挙上テスト(SLR)のまとめ

下肢挙上テスト(SLR)は、膝を伸ばしたまま脚を挙げて坐骨神経・神経根を伸張し、坐骨神経痛を誘発する代表的な検査です。おおむね35〜70°で坐骨神経に沿った痛みが出れば陽性で、主にL4〜S1神経根の圧迫(椎間板ヘルニアなど)が疑われます。膝裏のつっぱりはハムストリングの硬さによるもので、神経由来かどうかは変形SLRで確かめます。確定診断には画像検査が必要なため、症状が続く場合は医療機関の受診をおすすめします。

参考文献・出典

・日本整形外科学会「腰椎椎間板ヘルニア」https://www.joa.or.jp/

・MSDマニュアル プロフェッショナル版「坐骨神経痛」https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional

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