踵殿距離テスト(Heel buttock distance:HBD)
目的
踵殿距離テストは英語ではHeel buttock distance(ヒールバトックディスタンス)テストといい、その頭文字をとって単にHBD(エイチビーディー)と呼ぶこともあります。
このテストは膝関節の伸展筋である大腿四頭筋(大腿直筋、内側広筋、外側広筋、中間広筋の総称)の柔軟性をチェックするテストです。
大腿四頭筋は主に膝関節の伸展に関わる筋肉で、この筋肉の柔軟性が低下してしまうとオスグッド・シュラッター病やジャンパーズニーなどといった膝関節の傷害を招く恐れがあります。
また、大腿四頭筋のうち、大腿直筋はニ関節筋(関節を二つ跨いでいる筋肉のこと)なので、股関節の屈曲動作にも関与します。
このため、大腿直筋の柔軟性が低下してしまうと骨盤は前傾(反り腰)し、腰椎分離症、腰椎すべり症などといった腰痛症を招くこともあります。
実施方法
1. 患者さんを腹臥位にさせます。
2. 検者は患者さんの患側に立ち、上方手で患者さんの臀部を、下方手で患者さんの足首をコンタクトします。
3. 下方手で患者さんの足首を臀部に近づけるように徐々に膝関節を屈曲させます。
4. 患者さんが痛みを訴えたり膝関節の抵抗が強くなったところで動作を停止します。
5. 左右両脚ともテストを実施し、踵から臀部までの距離を計測します。このとき左右差がないかどうかも必ずチェックします。
結果の評価
- 踵が臀部につかなければ陽性反応です。
このとき踵から臀部までの距離が指4本分の隙間ができているなら大腿四頭筋が異常拘縮してしまっていると判断することができます。 - テストを行なった際、臀部がベットから浮くようなら大腿直筋だけでなく腸腰筋も硬くなってしまっている可能性があります。(尻上がり現象)
- このテストで両大腿とも陽性反応が出ている方は基本的に正座をすることができません。
左右両方とも比較してみて片側が可動性亢進、一方が可動性抑制をしている場合は長期に渡って『横座り』をしてきたことが疑われます。
参考
テスト結果に左右差があり、片側が可動性亢進、もう一方が可動性抑制してしまっている場合は、一般的に可動性抑制側の脚が長くなっている傾向にあります。