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- 準備運動は必ずしよう!アキレス腱断裂が起こる仕組みとその予防法
準備運動は必ずしよう!アキレス腱断裂が起こる仕組みとその予防法
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アキレス腱とは下腿部にある下腿三頭筋(腓腹筋、ヒラメ筋の総称)と足根骨の一つ、踵骨(しょうこつ)とを結びつける腱のことです。
アキレス腱は人体の中で最も強靭な腱で、下腿三頭筋で生まれた力をアキレス腱を介して足関節を動かすことができる文字通り要の部分でもあります。
比喩的な表現で『強者の弱点』としてしばしば使われる場所でもあります。いくら下腿三頭筋の力が強靭でも、連結部のアキレス腱が断裂してしまったらその力を足関節に伝えることはできません。
アキレス腱断裂とは?
アキレス腱は非常に強靭な腱なので切れることは滅多にないように思われがちですが、実は切れるときは案外あっさりと切れます。
アキレス腱を断裂した方の多くは『アキレス腱をバットで殴られたような衝撃があった』とか『ブチッと切れる音がした』と証言します。(僕の知り合いもそうでした)
アキレス腱が断裂すると皮下に凹みを確認することができ、圧痛を訴えます。
アキレス腱が断裂していない状態で腹臥位(うつ伏せ)になり膝を90°屈曲させた状態で下腿部を強くつまむ(正確に言うと第三者につまんでもらう)と、通常は足関節は底屈するのですが、アキレス腱が断裂してしまうと下腿三頭筋で生まれた力を踵骨(しょうこつ)に伝えることができないので底屈の動きを確認することができません。
このアキレス腱断裂の診断方法を『トンプソンテスト』といいます。
トンプソンテストで陽性反応がでたら速やかに医療機関に搬送する必要があるのですが、搬送までになるべく早目に応急処置をすることをお勧めします。
応急処置の方法は患者さんを腹臥位にさせ、下腿部前面(スネの部分)に副木をあて足関節を底屈にさせたまま、三角巾、あるいは包帯などで副木に固定します。
副木がなければダンボールを幾重に重ねたものを代用にしても良いと思います。
この状態で医療機関に搬送するのがベストです。
アキレス腱断裂は、踏み込みやダッシュ、ジャンプなどの動作で下腿三頭筋が急激に引き伸ばされたときに発症する可能性が高い怪我です。
また、下腿三頭筋が著しく固くなった方が急激に運動を行うことで発症することが多いため、筋や腱の退行性変性が基盤にあると考えられています。
普段運動をしてない人は下腿三頭筋の柔軟性が低下してしまっている傾向があるので、柔軟性がある方に比べるとアキレス腱断裂を引き起こしてしまうリスクが高くなってしまうのです。
このような理由によりアキレス腱断裂は身体の柔軟性が失われつつある、20代後半~の人に多く見らます。
どれだけ学生時代に部活やクラブで身体を鍛えた人でも、身体を動かさなくなる期間が永くなればなるほど身体の柔軟性は徐々に失われていくものです。
アキレス腱断裂になりやすい人とは?
上記でも触れたようにアキレス腱断裂は筋や腱の柔軟性がなくなってしまった方が、ある日突然運動を行ったときに発症しやすい怪我です。
また、昔、スポーツをかなりやっていたという方ほどなってしまう傾向が高いようです。
と、いうのも昔の身体が動くイメージがまだそのまま残っているからです。
子供の運動会で張り切り過ぎてアキレス腱を断裂してしまったというのはありがちな話です。
勿論、10代、20代といった若い人でも油断はできません。
特にアスリートは身体の限界にチャレンジするほど身体を酷使するので、例え、鍛え抜かれた身体をしていてもアキレス腱が耐えられる範囲を超えてしまい、アキレス腱断裂を起こすこともあります。
アキレス腱の使いすぎもそうですが、疲労が溜まった状態で無理に動かすことでもリスクが増してしまいます。
アキレス腱断裂の治療法と予防法
治療方法としては、保存療法と手術療法があります。
アキレス腱断裂は手術療法を行ったほうが、早く治りやすく、再発しにくいというメリットがあります。
但し、手術療法だと縫合不全や組織への癒着などの問題が全く無いとは言い切れません。
それらが心配であるならギプスで固定する保存療法も検討したいところです。(僕の知人はこれを選びました)
しかし、保存療法だと再発の確率は高くなるというデメリットもあります。
予防法としては、やはり日頃マメに下腿部に対してスタティックストレッチ(反動をつけないでゆっくり伸ばすストレッチのこと)を行うことと、運動前にはバリスティックストレッチ(反動をつけたストレッチのこと。実施の際には反動をつけすぎないように十分に注意を払ってください)やウォーミングアップといった準備運動を行うのが有効です。
しばらく運動をしてこなかった人は、急に激しいスポーツなどは行わずに、少しずつ軽い運動から始めて筋肉を慣らすことが大切です。
若い頃のイメージは捨てて、無理なく身体を動かすように心掛けてください。