『以前より身体が固くなってしまった』と感じている方はとても多いのではないでしょうか?
例えば、靴下を履くときに身体が硬くてバランスを崩してしまったり、簡単なストレッチをやろうとしたら全然できなかったりなど日々の生活の中でそれを感じることがあると思います。
しかし、ほとんどの方は身体が固いと感じても、それ以上、考えることもなく、それを改善するストレッチすらしようともしません。

おそらく加齢や運動不足で身体が固くなるのはしごく当たり前のことで、身体が固くても大した問題ではないと思ってしまっているからでしょう。

ROM(関節可動域)とは

一般に身体が硬い人より、身体が柔らかい人の方が身体を動かせる関節の可動範囲は広く、また、広い人の方がそうでない人に比べ、よりダイナミックな動きができ、身体に感じる不快症状も少ない傾向があります。
この関節の可動域のことをROM(ロム)といいます。
ROMはRange Of Motionの略でROMは”身体の各関節が、傷害などが起きないで生理的に運動することができる範囲(角度)のこと”を意味します。
この差を生むのは骨そのもの強度はほとんど関係なく、靱帯・腱・筋肉および関節包がどの程度強固に関節を取り巻いているかによって関節の可動域が大きく左右されます。
これらの構造が柔軟であればあるほどより大きく動かすことができ、強固であればあるほど逆に動きは小さくなります。
一般に身体は柔らかければ柔らかいほど良いと思われがちですが、ROMが過剰までに広すぎると今度は怪我をするリスクが高くなってしまいます。
女性の方に多くみられる関節が”ゆるい”という現象は適性のROMを超えてしまい関節が動いてはいけない方向に異常なまでに動いてしまうというものです。
これをフォローするだけの筋力があればまだ良いのですが、関節がゆるく、その上、筋力がないという状態だと大けがをする可能性すらあります。

反張膝(はんちょうひざ)

反張膝(はんちょうひざ)

例えば反張膝(はんちょうひざ)は身体が柔らかいというよりも関節がゆるくなってしまっている状態なのです。
先天的な問題や(もともと関節に障害があったり)、後天的な問題(やけどなどで皮膚に問題がある場合、脂肪が多すぎる、筋肉が極端に肥大している)があったとしても適度なストレッチを行うことで少しずつ筋肉や腱は柔らかくなりROMは広がっていきます。

しかし、運動をしなければ徐々にROM(関節可動域)は狭くなっていきます。

ROM(関節可動域)の低下でもたらされる弊害

立った状態で前屈(立位体前屈)を行った際、両手が床面につかない人は、ほとんどの場合はハムストリングス(大腿部後面)という筋肉群が硬い傾向にあります。
ご存知の方も多いと思いますが、ハムストリングスの腱の一方は骨盤に付着しているため、ここが固くなってしまうことで骨盤の傾きや脊柱の形にも影響を及ぼします。
ハムストリングスが硬い状態が長期に渡り続くと、筋肉や腱だけでなく、関節まわりの関節包や靭帯までもが固まってしまうため、関節はより硬い状態に陥ります。
特に影響を受けやすいの脊柱の椎間関節です。
脊柱の各椎間関節の可動域は小さいため、動きを意識することはとても難しいので関節の中でも特に硬くなりやすい場所として知られています。
因みに脊柱の椎間関節が硬くなると、腰痛などの発症率はそうでない方に比べ飛躍的に高くなります。
以下にROMの低下でもたらされる弊害を列挙します。

  1. 筋肉、腱、靭帯などの軟部組織に問題が発症し肉離れ、捻挫などを起こしやすくなる。
  2. 血行不良を引き起こし肩や頚、腰などにコリや痛みなどを感じるようになる。
  3. 姿勢が悪くなる。そのことで見た目が悪くなるだけでなく、老廃物や疲労物質の排出が滞ってしまい疲労が溜まりやすくなる。
  4. 日常生活、スポーツなどでスムーズな動きができなくなってしまう。

このようにROMが低下すると関節や筋肉などに大きな負担がかかるようになるのです。






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当サイトの編集長の佐藤伸一(さとうしんいち)です。
都内でトレーナーとして約20年活動し、その後、カイロプラクターとして約10年活動していました。
現在はフリーランスで活動していて主に健康や運動に関する情報を発信しています。

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