股関節痛の意外な原因とは?日常の生活習慣が大きなカギとなる|変形性股関節症の原因・進行・予防を徹底解説

人体の中で最も大きく、強靭な関節は、言うまでもなく股関節(こかんせつ)です。しかし、股関節は、骨盤や脊柱、その他の関節で発生した問題がダイレクトに伝わりやすい場所でもあるので、非常に多くのトラブルに見舞われる関節でもあります。一般的に、骨盤や脊柱に歪みがある方は、同時に股関節にも何らかのトラブルを抱えている可能性があると思った方がよいかもしれません。

歩いたり走ったりすると股関節周辺に違和感や痛みを感じるという方がいらっしゃいますが、実はこうした症状が表面化するずっと以前から、股関節に異常があった可能性があるのです。

しかし、痛みが伴わない、あるいは痛みがあっても放っておけば痛みがなくなってしまうので、本人は全く気にも止めず、症状が表面化したときには、かなり重くなってしまっていることが多いようです。『歩き方がおかしい』と他人から指摘されたり、『椅子に座って脚を組むときに組みにくい方がある』『横座りをしたときにしやすい方としにくい方がある』と感じたことがある方は、すでに股関節に何らかの異常が起こり始めている可能性があります。

股関節痛と痛みの原因は?

股関節痛に当てはまる症状には、『変形性股関節症』『大腿骨頭壊死症』『関節リウマチ』『大腿骨頚部・転子部骨折』など、実に様々なものがあります。以前、関節の分類のページでご紹介しましたが、股関節は分類上、肩関節と同じ球関節です。

球(臼)関節
球(臼)関節

球関節は、関節の一方が半球形をしていて、もう片方は臼状の形になっています。球関節である股関節は、大腿部の上端にある大腿骨頭が、骨盤の寛骨にある寛骨臼(かんこつきゅう)というところに深くはまり込んでいて、同じ球関節である肩関節と比べると、非常に強固な作りになっています。

股関節は、上半身と下半身をつなぐ役割があり、上半身の重さを一手に引き受けるため、強い靭帯によって補強されています。そのため、立つ・座る・走る・跳ぶ・蹴るといった動作をスムーズに行うことができるのです。しかし、ひとたび股関節に問題が発症すると、痛みや違和感を感じるようになり、また、動きにも制限が出て、日常生活に大きな支障をきたすようになります。

こうした股関節痛の原因の多くは、変形性股関節症に由来することが多いようです(今回この記事で取り上げるのは、主に『変形性股関節症』についてです)。変形性股関節症は、大きく下記の二つのタイプに分類できます。

  1. 一次性変形性股関節症
  2. 二次性変形性股関節症

1. 一次性変形性股関節症は、明確な原因は不明なのですが、何らかの理由により関節を保護している関節軟骨がすり減り、それによって股関節に痛みが生じるようになります。動かすたびに骨と骨がぶつかって痛むので、そのまま放っておくと、ますます痛みが増強し、やがて骨そのものが変形してしまいます。

2. 二次性変形性股関節症は、生まれつき股関節が脱臼していたり、股関節の発育が悪かったりすることで発症する股関節症です。大人になってから股関節の痛みが出てきたので、念のために整形外科で精密検査をしてもらったところ、実は『二次性変形性股関節症』だったと初めて知らされた、という方も多いようです。二次性変形性股関節症は、幼少期や成長期の病気・発育の問題が原因となることがあり、症状は年齢とともに表面化します。なお、日本では、この二次性のタイプが多いといわれています。

こうした股関節痛に大きく影響を与えるのが、『脊柱や骨盤などの歪み』と『悪い生活習慣』です。股関節は身体の中で最も大きな関節ですが、その上部にある骨盤や背骨の歪みが大きければ大きいほど、股関節に悪影響を与えます。例えば、骨盤や背骨が左右どちらかに歪んでいると、その影響は、歪みが強い側の股関節や膝関節に痛みとして現れるようになります。歩行の際などには、その痛みをかばいながら歩こうとするので、やがて痛みがなかった側の股関節や膝関節にも痛みが現れるようになるのです。こうした左右の股関節の使い方のズレが蓄積されると、やがて股関節に様々な症状となって表面化してくるのです。

股関節痛を放っておくとどうなる?

股関節痛の症状は、我慢できるレベルのものから、歩行や立ち上がりなど日常生活を営むのが困難になるレベルまで、振り幅が人により大きく異なります。しかし、いずれにせよ、放置し続けると重い症状を招くことは確かです。

股関節痛を放置したまま歩行を続けると、次第に関節部分の軟骨がすり減り、摩耗していきます。こうなると、さらに痛みをかばうためにもう片側の足に極端な負荷をかけることになり、反対側の股関節を痛めることにもつながります。軟骨がすり減って関節の変形が進むと、痛みは我慢できないレベルにまで達してしまうこともあります。こうなってくると、長距離の歩行はおろか、家の中での移動、階段の昇り降りまでもが大きな苦痛となり、日常生活をまともに過ごすことが難しくなります。

ここまで進行すると、ストレッチや手技療法などでは改善しないことが多く、場合によっては整形外科的な手術(骨切り術や人工股関節置換術など)が必要になることもあります。これまで、骨盤や背骨の歪みによって股関節の負担が高くなると書いてきましたが、これは何も股関節に限ったことではなく、膝関節や足関節、さらには頸椎にまで悪影響を及ぼすことがあります。

股関節痛の意外な原因とは?日常の生活習慣が大きなカギとなる

こうした股関節痛の原因となるのは、一体どのような要因が考えられるのでしょうか。やはり、まず第一に考えられるのが、脊柱と骨盤などの歪みです。身体の土台である骨盤と、柱である脊柱に歪みが生じると、それらを補うように他の箇所にも問題が現れるようになります。例えば、身体が右側に大きく傾いているようなら、右の股関節・膝関節・足関節に問題が現れる可能性が高くなります。

次に考えられるのが、生活習慣です。上記でも述べたように、股関節痛は幼少期や成長期の発育の問題が原因となることもあるので、すべての股関節痛が生活習慣によるものとは言えません。しかし、現在、股関節痛で悩んでいる方の多くは、不自然な日常生活の動作や生活習慣を続けたことにより、その股関節痛を悪化させてしまっています。

こうした股関節痛の悪化の最大の原因は、座り方です。イスに座る際に脚を組むというのはその最たるもので、ほかにも、女の子座り・横座り・あぐらなども、股関節に悪影響を与える要因になります。

股関節痛を和らげるためには

まず、優先すべきは、悪い習慣を直ちにやめることです。すなわち、上記のような座り方を今すぐにやめることです。そうしなければ、股関節痛が良くなることはまずありえないと思ってください。また、立っている際にも、片側ばかりに重心がかからないように、両足で均等に体重を支えるよう心がけることも大切です。

手技療法などの施術を受けて身体の歪みを整えるのもよいとは思いますが、それだけでは根本的に解決することはできません。まずは日常生活で正しい姿勢を心がけ、新たな歪みや痛みを生まないように生活を営むことが何よりも大切です。

さらに、股関節の安定化をはかるためには、股関節周辺の筋肉を鍛えることもとても重要です。例えば、お尻の横にある中臀筋や、内ももの内転筋群は、骨盤の横方向のブレを抑えるには欠かせない筋肉です。そもそも股関節周辺の筋力が弱化している人は、歪みを整えても、すぐに元の状態に戻ってしまいます。そのため、股関節周りの筋肉を日頃から鍛えておくことは、とても大切です。記事全体を通して述べてきたように、根本的に股関節痛の原因を取り除かなければ、対症療法に終始しているだけではいつまでたっても解決には至らないことを、肝に銘じてください。

こんな股関節の痛みは早めに受診を

股関節痛は、姿勢や生活習慣の見直しと運動で和らぐことも多いのですが、中には、早めの受診が必要なものもあります。だからこそ、「ただの疲れ」「年のせい」と決めつけないことが大切です。

特に、立ち上がりや歩き始めに足の付け根が痛む、あぐらがかきにくい・脚が開きにくい、左右で脚の動かしやすさが違う、といった症状が続く場合は、変形性股関節症が始まっているサインのことがあります。変形性股関節症は、早い段階で対応するほど、運動療法や生活習慣の改善で進行を抑えやすくなります。逆に、進行してしまうと手術が必要になることもあるため、早期発見がとても重要です。

また、股関節が急に強く痛んで歩けない、安静にしても痛む、発熱を伴う、といった場合は、骨折や大腿骨頭壊死、感染など、すぐに治療が必要な病気が隠れていることもあります。これらは自己判断やセルフケアで様子を見てよいものではないので、早めに整形外科を受診してください。股関節は、立つ・歩くという生活の基本を支える大切な関節です。気になる痛みや違和感が続く場合は、放置せず、専門医に相談して、原因に合った対応をとることが、いつまでも自分の足で歩き続けるための近道になります。

まとめ

股関節痛の多くは変形性股関節症によるもので、明らかな原因のない一次性と、生まれつきの股関節の発育の問題などによる二次性があります。骨盤・脊柱の歪みや、脚を組む・横座りなどの生活習慣が悪化の大きな要因です。放置すると軟骨がすり減って進行するため、座り方の見直しと、中臀筋・内転筋などの強化が予防・改善に有効です。痛みが続く・急に強く痛む場合は、早めに整形外科を受診しましょう。

参考文献・出典

・日本整形外科学会「変形性股関節症」https://www.joa.or.jp/

・厚生労働省 e-ヘルスネットhttps://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/

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