内側側副靭帯ストレステスト:肘(Medial Collateral ligamant stress test:Elbow)
目的
内側側副靭帯(ないそくそくふくじんたい)ストレステストは肘関節の外方から内方に向かって圧迫をかけることで肘関節の内側側副靭帯が損傷しているかどうかを調べる検査方法です。
肘関節の両側には内側側副靭帯、外側側副靭帯があり、これらの靭帯があることで肘関節の横方向へのズレを制御しています。
両側の側副靭帯の損傷は、スポーツ(野球など)などによる使いすぎによるもの、または転倒などで手を勢いよくついたときに肘関節にストレスが加わって損傷してしまうケースが多いようです。
このテストで陽性反応が出てしまった場合、内側側副靭帯の損傷が疑われます。
実施方法
1. 患者さんを座位にさせます。
2. 検者は患者さんの患側に立ち、患者さんの肘関節を180°に伸展させた状態にさせます。(このとき患者さんの手の平が上を向くようにしてください)
3. 検者は一方の手で患者さんの手関節を把握し、他方の手で肘を包み込むように固定します。
4. 検者は患者さんの手首の位置を固定したまま、肘関節の外方から内方に向かってゆっくりと圧迫を加えます。
5. 同様に反対側の肘関節も実施します。
結果の評価
このテストにより患者さんが痛みを訴えるようなら内側側副靭帯の損傷、断裂が疑われます。
痛みが伴わない場合は、過去の怪我やこれまでの生活習慣などにより内側側副靭帯がゆるくなってしまっていることが考えられます。
参考
肘関節の内側側副靭帯はスポーツ傷害が発生しやすい場所としても知られています。
例えば幼少期の頃、過度に野球の投球動作を繰り返したことで内側側副靭帯を痛めるケースがよく知られています。(いわゆる野球肘(内側タイプ))
場合によってはこれがきっかけで上腕骨内側上顆(じょうわんこつないそくじょうか)の剥離骨折(はくりこっせつ)をしてしまうことがあります。
- 内側側副靭帯損傷のうち、転倒やコンタクト(ぶつかる)などによって痛めたものは受傷後にすぐ肘関節が痛くなり、場合によっては腫れが生じます。
一方、野球の投球動作によるものは、徐々に痛みが強くなり投げられなくなってしまうものと、急に疼痛が生じて(この場合、プチっと音がする場合があります)投球動作が不能になるものとがあります。