骨粗鬆症とカルシウムの関係性|骨が弱くなる仕組みと食事・運動による予防法を徹底解説

骨は、皮膚や筋肉などと同じように、常に古い細胞から新しい細胞へと生まれ変わり続けていて、成人ではおよそ3年ほどの月日をかけて骨が生まれ変わるといわれています。このとき、骨芽細胞(こつがさいぼう)と破骨細胞(はこつさいぼう)と呼ばれる二つの細胞が交互に働くことで、古い骨は新しい骨へと絶えずつくり変えられているのです。

骨芽細胞は、文字通り骨の生成(骨形成)を行う細胞で、破骨細胞は、骨組織の破壊(骨吸収)を行う細胞です。このように二つの細胞が交互に働いて、骨が新しい骨へと再生されることを、骨改変(骨のリモデリング)といいます。しかし、何らかの原因で骨改変のバランス(骨吸収の速度が骨形成の速度を上回る)が崩れてしまうと、骨の中に微細な空洞が増えていきます。これがいわゆる『骨粗鬆症(こつそしょうしょう)』という病気です。

骨粗鬆症とは

いうまでもなく、私たち人間にとって骨は無くてはならない存在です。骨は、私たちの身体を支え、筋肉を動かすなどの運動にも寄与し、脳や心臓といった重要な臓器を外部からの衝撃から守る、という大切な役割を担っています。

骨粗鬆症の骨断面図
骨粗鬆症の骨断面図

しかし、骨粗鬆症にかかると骨がもろくなり、ちょっとした衝撃が加わるだけで骨折しやすくなります。ひどい方になると、咳をしただけで肋骨が折れてしまうことすらあります。

通常、健康な骨では、内部で支える柱や梁がしっかりと詰まった状態で、その内部の密度は濃いのですが、骨粗鬆症にかかった骨の内部は、あたかも麩菓子(ふがし)のようにスカスカの状態になってしまいます。そのため、ちょっとした衝撃が加わるだけでも骨折しやすくなるのです。

骨粗鬆症になる主な原因は加齢(かれい)といわれていて、特に閉経後の女性は、ホルモンバランスの変化により骨を守る働きが弱くなります。また、その他にも、運動不足、過度な飲酒、喫煙、極端な無理ダイエットなども、骨粗鬆症につながる要因になります。

骨の役割

上記で骨の役割を少し述べましたが、実はそれ以外にも、骨には『カルシウムを貯蔵する』という、とても重要な役割があります。

カルシウムというと『骨を構成するミネラル』という印象が強いと思いますが、実は、私たちの生命維持に必要な重要な栄養素でもあります。具体的には、筋肉の収縮、ホルモンの分泌、血液の凝固、細胞分裂、神経細胞の興奮などを行う際に、カルシウムが必要となります。

私たちの体内では、99%のカルシウムが骨に貯蔵されますが、残り1%は血液中や他の組織内に存在しています。しかし、何らかの原因で血液中のカルシウムが不足すると、骨の中のカルシウムが溶けだして、不足分を補おうと働きます。つまり、それらの繰り返しにより、だんだんと骨密度が下がっていき、やがて骨がもろくなっていってしまうのです。そのためにも、日ごろからカルシウムの摂取を心がけなければなりません。

しかし、カルシウムを摂取するだけで、本当に骨密度を維持することはできるのでしょうか。実は、カルシウムを摂取するだけでは、骨密度を維持することはできません。骨密度を高めるためには、他の要因も大切になります。

骨を強化するための他の要因

骨の強度は、主に『骨密度』という指標によって判定することができます。骨密度とは、骨に含まれるミネラルの量(骨塩量)を数値化したもので、年齢や健康状態によって絶えず変化します。ミネラルの主成分はカルシウムとリンで、その他、マグネシウムなども含まれます。

骨粗鬆症になると主に不足するミネラルはカルシウムなので、「骨を強化するためにはカルシウムを補わなければならない」というイメージが完全に定着してしまっています。しかし、カルシウムの摂取だけでは骨密度を維持することはできません。先にも述べたとおり、リンやマグネシウムなどの摂取も心がけなければなりませんし、ビタミンDの不足も、カルシウムの吸収効率に大きな影響を与えます。そして一番重要なのは、骨そのものに直接刺激を与えることです。

スクワット
スクワット

骨に刺激を与えることで、骨芽細胞・破骨細胞の働きが活性化し、骨を強化することができるのです。ここでの刺激とは、主に運動を指しており、特にウォーキングやスクワットなどが、骨の強化に適しています。

骨の強化のために水泳を選ぶ方もいますが、水中では浮力がかかるため、骨に刺激を与えることは難しく、骨の強化を狙うのであれば、やはり陸上での運動が望ましいといえます。

骨が弱くなってしまうその他の要因

上記で述べてきたように、骨がもろくなる要因には、運動不足、カルシウム・リンの摂取不足、ビタミンDの不足などが考えられますが、女性の場合は、女性ホルモンとの関わりが大きく寄与しています。

女性ホルモンのエストロゲンには、骨からカルシウムが溶けだすことを抑える働きがあるのですが、閉経を境に、エストロゲンの分泌は激減します。そのため、骨粗鬆症の患者の多くが高齢の女性といわれるように、その年代の女性は特にかかりやすくなるため、一層気をつけて対策を取る必要があります。なので、実際の運動や栄養摂取などは、医師や栄養士、正しい運動知識をもった専門家の管理のもとで行うことが、とても大切となります。

カルシウムやその他の栄養素について

ここまでのお話で、骨の強化のためにはカルシウムを摂取することがとても大切だ、ということが理解できたかと思います。カルシウムが多く含まれている食材としては、乳製品があげられます。

ただし、カルシウムは、もともと体への吸収率があまり高くない栄養素として知られています。その中でも、牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品は、比較的、体に吸収されやすいものとされています。その他には、小魚や干しエビ、うなぎのかば焼き、野菜では小松菜・青梗菜・モロヘイヤ・大根の葉、そして豆腐や納豆などの大豆製品、ひじきなどの海藻にも多く含まれています。

では、これらの食材をたくさん食べればよいのかというと、もちろんそれも一理あるのですが、それに加えて、相乗効果で吸収率を高めてくれる栄養素と一緒に食べると、一層効率よく栄養を吸収できます。相乗効果が期待できる栄養素はビタミンDです。ビタミンDと同時に摂取することにより、腸管での吸収率が高まるといわれています。

ビタミンDは、鮭・サンマ・メカジキ・カレイなどの魚や、シイタケ・キクラゲなどのきのこ類に多く含まれています。また、いくらや鶏卵などにも含まれています。ビタミンDは、本来、日光に当たることで皮膚内でも作られるビタミンなので、日頃から十分に日光を浴びている方は不足しにくいとされています。ただし、日焼け止めを多く使用する場合などは、その限りではありません。

SPF(紫外線防御指数)とPA(UV-A防御指数) SPFとはSun Protection Factor(サン プロテクション ファクター)の略で、紫外線防御指数とも言います。

高齢者に骨粗鬆症が多いのは、この日光により皮膚内で生成されるビタミンDの量が、加齢とともに減少してしまう、という一因もあります。そのため、適度に日の光を浴びることも、骨粗鬆症対策には有効です。また、骨の形成にはビタミンKも必要で、納豆・小松菜・ニラ・ブロッコリーなどに含まれています。

骨を強くするには「カルシウム+α」と「運動」がカギ

ここまでをまとめると、骨を守るうえで大切なのは、「カルシウムだけに頼らない」という視点です。骨は、カルシウムという材料に、それを吸収・定着させる栄養素と、骨に刺激を与える運動が組み合わさって、はじめて丈夫に保たれます。

具体的には、(1)カルシウム(乳製品・小魚・大豆製品・小松菜など)をしっかりとる、(2)その吸収を助けるビタミンD(魚・きのこ・日光)と、骨の形成に関わるビタミンK(納豆・青菜)を一緒にとる、(3)ウォーキングやスクワットなど、骨に体重の刺激が加わる運動を続ける、の3つがそろうことが理想です。逆に、喫煙・過度の飲酒・極端なダイエット・運動不足は、骨を弱らせる方向に働くため注意が必要です。

特に、閉経後の女性や高齢の方は、骨密度が低下しやすいので、自治体や医療機関で骨密度検査を受け、自分の骨の状態を知っておくことをおすすめします。骨粗鬆症は、骨折してはじめて気づくことも多い「静かに進む病気」です。早めに対策を始めるほど効果が出やすいので、気になる方は整形外科に相談しましょう。

まとめ

骨粗鬆症は、骨をつくる働きと壊す働きのバランスが崩れ、骨がスカスカにもろくなる病気で、加齢や閉経後のホルモン変化が大きく関わります。予防にはカルシウムが欠かせませんが、それだけでは不十分で、吸収を助けるビタミンDやビタミンK、そして骨に刺激を与える運動を組み合わせることが大切です。閉経後の女性や高齢の方は、骨密度検査を受け、早めの対策を心がけましょう。

参考文献・出典

・日本整形外科学会「骨粗鬆症」https://www.joa.or.jp/

・厚生労働省 e-ヘルスネットhttps://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/

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