モートン病は、足の裏や足の指(第2足趾~第4足趾)にしびれや痛みが伴う神経疾患です。
日頃からつま先の細いハイヒールを履いている方が発症しやすく、また、外反母趾や内反小趾になってしまっている方は特に発症する可能性が高い病気です。

モートン病の特徴としては、 痛みやしびれが足の指の間に発症し、特に第3足趾と第4足趾の間が好発部位です。(好発部位とは症状が発生しやすい部位のことです)勿論、第2足趾と第3足趾、第4足趾と第5足趾の間などに発症することもあります。

痛みの度合いについては個人差はありますが、ひどくなると足の指先のみならず、足の裏、足首からすねにかけて酷く痛み、また、神経障害が起こってしまうこともあります。

ハイヒールを履かなければモートン病にならないの?

モートン病が発症するかしないかは、普段、履いている靴の影響を大きくうけます。
足先の部分が極端に狭まったヒールはその形状からも理解できると思いますが、ヒールを履くことにより、母趾(親指)と小趾(小指)がそれぞれお互いに内側を向くように強い負荷が加わります。
それに伴い、示趾(人さし指)、中趾(なか指)、環趾(くすり指)がお互いを圧迫するようになるので指の間に傷みが出るのです。
ハイヒールの常用している人にモートン病が多くみられるのはそのためです。
なので、履いている靴についてはできれば充分に見直す必要があります。
しかし、モートン病は何もハイヒールの影響だけで発症するわけではありません。
それを理解していただくためにはモートン病が発症するメカニズムを少しだけお話しなければなりません。
足先に通じる神経は中足骨間を連結する靱帯のすぐ近くの足底部を通過します。
このため、つま先立ちを長時間に渡って行っている人は靱帯と地面の間で神経が圧迫されることによって過度に神経に負担がかかってしまうので、神経障害となってしびれや痛みなどが発症するようになります。
場合によっては圧迫部の近くに仮性神経腫(かせいしんけいしゅ)と呼ばれる有痛性の神経腫が形成されることもあります。
これが『モートン病』です。
果たして、つま先立ちを(つま先を反らし、踵が挙がる)長時間に渡って行っている人とはどのような方がいるのでしょうか?
以下のような方があげられます。

  1. しゃがんだ状態で長時間作業をしなければならない方
  2. バレエダンサー

しゃがんだ状態で長時間作業をしなければならない方

しゃがんだ状態で何か作業する方の多くはつま先立ちになります。
下腿三頭筋の柔軟性がない(足首が硬い)からしゃがむためにはつま先立ちにならざるを得ないという方もいると思いますが、しゃがんで立ち上がってという作業を繰り返すためにはいちいち踵を地面につけてしまっては素早く次の動作に移ることはできません。

バレエダンサー

バレエをやっている方は練習中、常につま先立ちになり、また、トゥシューズ(又はバレエシューズ)と呼ばれる特殊な靴を着用します。
トゥシューズは足指をきつく締め付けるような構造になっていて、それにより、中趾と環趾の間で床を踏み込んで歩行することができるのです。
このためモートン病は経験を積んだプロバレエダンサーなどに多くみられます。

モートン病になってしまった場合の治療方法

自分でモートン病かどうかを簡易的に調べる方法としては足の指を反らしてみたり、その場でつま先立ちになってみます。
それにより痛みや神経症状が強くなったらモートン病の疑いがあります。
モートン病の疑いがある方はなるべく早い段階で整形外科に診てもらった方が良いと思います。
整形外科医が患者さんがモートン病かどうかを判断するときに『打腱器(だけんき)』と呼ばれる器具を用いて中足骨の足裏の第3趾と第4趾の間を叩く方法を用います。
打腱器で叩かれたことにより、もともと痛みを感じてる部分から拡がるような痛み(放散痛)を患者さんが感じた場合はモートン病と診断することができます。(正確にモートン病と診断するにはMRIなどの検査も行って最終的に判断します)
モートン病は原因が特定されれば治ることがないという病気ではありません。
もしも、モートン病だと診断された場合の治療法ですが、まずは足を安静にする(ハイヒールを履いている場合には止めるようにします)のはもちろんですが、足底板などを用いて足になるべく負担が掛からないようにします。
この足底板は、主に扁平足・外反母趾・アキレス腱や足裏などに生じる痛みに対しても用います。
こうした痛みやしびれの原因には、足の形や靴の形状などによるというケースが多くみられるため、患者さんの病気の状態に応じた足底板を入れることで足の負担を軽減させることができるのです。
また、痛みの度合いにもよりますが、痛みを緩和させる内服薬や塗り薬を用いたり、患部に直接麻酔薬を注射する神経ブロックを行って痛みを鎮静化する方法を用いる場合もあります。
そのまま3ヶ月程度を目安に症状が回復するかどうかをみて、症状が回復しないケースにおいては手術を行うこともあります。
手術療法を行う場合には、原因となっている神経の剥離やできてしまった神経腫を摘出するなどの手術が行われます。
モートン病はある程度治るまで長期的にみなければならない病気なので、日頃から足に負担がかからないように生活を送るように気をつける必要があります。






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当サイトの編集長の佐藤伸一(さとうしんいち)です。
都内でトレーナーとして約20年活動し、その後、カイロプラクターとして約10年活動していました。
現在はフリーランスで活動していて主に健康や運動に関する情報を発信しています。

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