- Home
- 骨や関節のトラブルとその原因, 腹部・腰部の症状
- 腰の痛みの原因は?ぎっくり腰のメカニズムについて
一般に『ぎっくり腰』とは何かしらの原因で突然、腰に強い痛みを感じることをいいます。
『ぎっくり腰』とは腰周辺に激痛を感じる症状を指す通称のようなもので、厳密にいうと医学的用語ではありません。
正式名称は、『突発性腰痛症(とっぱつせいようつうしょう)』といい、いわゆる腰の捻挫です。
腰だけに激痛が現れるのが特徴で、あまりの痛さで動けなくなることもあります。
ぎっくり腰とその主な原因
ぎっくり腰というと、突発的な傷害というイメージが強いと思いますが、実は日頃の腰周辺の筋疲労の蓄積が何かのきっかけにダメージとして現れることが多いので老若男女に関わらず発症します。
発症するタイミングや症状などには個人差がとても大きく、また何が原因で痛めたのかが特定出来ないこともしばしばあります。
特定されるケース出来るケースとしては以下のようなことがあげられます。
- 腰に負担のかかる姿勢を続けたことで、脊柱起立筋などの腰まわりの筋肉が過度に緊張してしまった
- 急激に筋肉を引き延ばしたことにより筋線維や筋肉の表面を覆っている筋膜(きんまく)が肉離れのような状態になってしまった
- 腰椎の一部分に負荷が集中して靭帯や椎間板が損傷してしまった
一般に重い荷物を抱えたことでぎっくり腰になってしまうと思っている方も多いようですが、洗顔、くしゃみ、咳などといった日常生活の何気ない動作で発症してしまうこともあります。
症状は人により異なり、軽度のぎっくり腰の場合は初期治療の段階で安静にしていれば2~3日で症状は軽減されることもあります。
しかし、この段階で無理をして動きまわったりすると、治りが却って悪くなってしまい、長期に渡り鈍痛が続くことがあります。
また、痛みを軽くしようとして腰をかばう姿勢を続けることが更に症状を悪化させる(腰椎椎間板ヘルニア)原因に繋がり、最悪、外科手術をすることもあります。
いずれにせよ、ぎっくり腰になってしまったら、まず、できるだけ安静にするよう心掛け、もし、患部に熱感があるようなら患部を冷やすことも重要です。
ぎっくり腰の状態で仰向けに寝ると痛みが却って増幅するので、少なくとも痛みが治まるまでの間は横向きになり、胎児のように膝を抱えるような姿勢で休まれることもお勧めします。(横向きになり股関節、膝関節を屈曲させることで腰椎に掛かる負担を軽減させることができるので痛みを少し和らげることができます。また、このとき両膝の間に枕などをはさむのも効果的です)
ぎっくり腰の予防法
ぎっくり腰をはじめとする腰痛は、一度やると癖になるといわれています。
確かにぎっくり腰を頻繁に繰り返す方はとても多いのですが、この方たちに共通して言えることは『もともと姿勢があまり良くなく、腰の形状がぎっくり腰を起こしやすい状態になってしまっていた』ということです。
例えば腰椎部分は通常、緩やかに前に凸(前弯)しています。
しかし、腰椎部分が何かしらの原因で前弯が少なくなってしまったり、後弯(後ろにせり出してしまったフラットバック)した腰の形状をしてしまっている場合は常に腰の筋肉や筋膜が引っ張られているのでぎっくり腰になりやすくなってしまうのです。
逆に腰椎部分が過剰に前弯している方では腰部の筋肉の柔軟性が失われてしまっている方が多く、常に腰の筋肉が過収縮した状態なのでこれもまた、ぎっくり腰を起こす要因になります。
このようにぎっくり腰を起こしやすい腰の形状をしている方は、筋バランス(筋力-柔軟性のバランス)が崩れていて、そもそも姿勢が悪い方が多く、それこそ顔を洗うような何気ない前傾姿勢をとっただけで腰の筋肉が過剰に引き延ばされてぎっくり腰になってしまうこともあるのです。
筋肉に筋力や柔軟性が十分にあれば問題ない場合が多いのですが、年齢を重ねることや運動不足などによって筋肉の筋力や柔軟性が失われると、血流が滞っているわけでもないのに筋肉が緊張しやすくなってしまいます。
このため、ぎっくり腰を防ぐためには日頃から腰や大腿部のストレッチや運動を行って、できるだけ筋肉が緊張しない状態を整えてあげることが大切なのです。
その他の予防法
再発を防ぐためには日常生活でも様々な注意を払う必要があります。
例えば、座るときには壁などに寄りかかり膝を抱えたり、あるいは膝を曲げて机に両手をついた姿勢をとるようにしてゆっくり座るなどを行うことで腰への負担は軽減させることができます。
立ち上がるときも、どこかに手をついてゆっくり動き、階段の昇降の際にも手すりを使うなど、ちょっとした工夫をするようにすることも大切です。
しかしながら、このような動作を日常生活の中で無意識的に行うことは最初はとても難しいと思います。
しかし、何度も繰り返し行うことで、やがて無意識にこれらの動作が自然に行うことができるようなります。
また、血行をよくすることも腰痛防止につながります。入浴や適度な運動がとても効果的です。
人浴時は、熱い湯に短時間入るのではなく、38~40℃くらいのぬるめの温度でゆっくり入ることです。(ぎっくり腰を行ったばかりの急性期のときに腰を温めることは禁忌です)
毎日シャワーで済ませているような人は悪化させやすいので、できるだけ頻繁にお湯に浸かって血行を促進するようにしましょう。
このことにより腰だけでなく、全身の血行もよくなります。
まずは、自己判断せず、専門医に必ず診てもらいましょう。
安静にしても、症状が治まらなかったり、痺れがでたり、慢性化した痛みが残る場合は、ほかの病気を疑う必要があります。
その代表的な病気は『腰椎椎間板ヘルニア』です。
椎間板とは背骨にあるクッションのような働きを担っている部分で、強い負荷がかかると椎間板が押しつぶされて髄核という組織が飛び出してきてしまいます。
これが神経を圧迫することで激痛が生じ、ぎっくり腰の症状を引き起こしてしまうのです。
もちろん全てのぎっくり腰が椎間板ヘルニアを原因としているわけではなく、この2つの症状が全く関係せず別個に生じているケースもあります。
正しい診断は専門医に診察してもらわなければ分からないので、自己判断せずに必ず病院を受診し、治療を始めるようにしましょう。