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- 骨や関節のトラブルとその原因, 膝関節の症状
- 関節に水が溜まる原因|膝関節周囲で起こる様々なトラブル⑸
怪我や加齢などが原因で半月板(はんげつばん)や関節軟骨(かんせつなんこつ)に問題が生じると肘関節(ちゅうかんせつ)や膝関節(しつかんせつ)にしばしば炎症が起きてしまうことがあります。
特に発症しやすい部位は膝関節で、悪化すると関節が腫れあがり、水が溜まったような状態になることがあります。これを俗に関節水腫(かんせつすいしゅ)といいます。
関節が腫れ、水が溜まり出すと、例えば膝関節であれば、『正座がしにくい』『階段の歩行時に膝に痛みがでる』『膝から鈍い音がする』『膝が熱っぽく腫れる』などの症状があらわれるようになります。
量にもよりますが、関節に水が溜まったら、水を抜きとらなければ症状が改善されることはありません。
では、そもそもなぜ関節に水が溜まってしまうのでしょうか?
関節に溜まる水、その正体は関節腔に分泌される滑液
膝関節だけでなくすべての関節の周りには、関節包(かんせつほう)という袋があります。
関節包に覆われた関節腔では、関節腔の内壁となっている滑膜の細胞から『滑液(かつえき)』と呼ばれる物質が分泌されたり、吸収されたりしています。
ヒアルロン酸などを含んだ滑液は、関節軟骨に栄養を与えながら、関節のスムーズな動きを助ける潤滑油のような役割も果たしています。
もし、この部分に何かしらの原因で炎症が起きたとしたら炎症物質を洗い流したり、炎症部分を冷やすために自己防衛反応が起こり、より多くの滑液が分泌されるようになります。
正常な関節の場合は関節腔内の滑液はせいぜい2~3ml程度ですが、関節に炎症が起こると、滑液が分泌される量と吸収される量のバランスが崩れ、関節腔内に20~30mlもの滑液が溜まることがあります。
これが俗に言う『関節に水が溜まる』という状態です。
水が溜まる原因はなにも捻挫や骨折だけではなく、化膿性の炎症、痛風、関節リウマチなどでも起こることもあります。
関節に溜まった水を抜くという行為
一般に関節腔内に一定以上の滑液が溜まると周囲の血管が圧迫されるようになるので血液の流れが悪くなってしまいます。
また、肘や膝の曲げ伸ばし動作を行うたびに痛みも伴うようになります。
痛みがあるのでなるべく関節を動かさないようにしているとやがて筋肉が衰え、ますます血液の流れは悪くなり、関節が更に痛むようになります。
このため、ますます滑液が増え、痛みで関節が動かすことができなくなってしまうという負のスパイラルに陥ってしまうのです。
そこでそうならないようにするために、ある程度、水(滑液)が溜まったら関節内に溜まった水を抜かなければなりません。
水を抜くことでパンパンに膨らんだ状態となった関節内の圧力を下げることができるので関節が動かしやすくなります。
また炎症の原因になっている化学物質と余分な滑液を一緒に取り除くことができるので正常な代謝を促し、炎症を沈めることができるのです。
そもそもなぜ関節に負担が掛かるようになるのか?
関節に水が溜まった場合は水を抜くのですが、そもそも何故、関節に負担がかかるのでしょうか?
その原因は大きく3つに分類することができます。
- 身体の歪み
本来、私達は上半身の重みを骨盤が受けとめ、それが股関節、膝へと伝わり、足首を介して体重を支えることで、立ったり歩いたりすることができます。
しかし、生活の中で動き方、座り方などの癖により、骨盤が歪んでしまい、骨盤でうけるべき身体の重みを充分に受けとめきれず、股関節、膝、足首がそれをカバーするようになります。
このことにより膝関節に過剰な負担がかかってしまうのです。
肥満で体重が増えすぎた場合などもこれにあたります。 - 怪我、その他
転倒などによる足首の捻挫、この他にヒールの高い靴の使用や細い足先の靴などを履くことで脚の指の形が変形したり、足のアーチがなくなることがあります。
これにより足裏で受けるべき重みが受けきれなくなるのでそれをサポートしようとして膝関節に過剰な負担がかかってしまいます。 - 病気の可能性
免疫機能の異常で滑膜細胞が増殖するリウマチが膝でおきる場合は、何回も溜まって炎症を繰り返します。
もし、膝が腫れ、痛みが発症してしまったら
膝が腫れ痛みがでたらなるべく早い段階で整形外科医に診てもらう必要があります。
注射器などで水を抜くことにより、圧迫されていた血流がもとに戻るので痛みが消えて膝の動きがスムーズになります。
しかし、これはあくまでも一時的な対処法で根本的な治療ではありません。(やがて近い将来また同じように膝が痛むようになります)
もし、痛みが出てしまったらお医者さまの指示を仰ぎながら下記のような対応を行うのも有効です。
- 安静にする
腫れて痛みのひどい時や水を抜いた後は、その後、数日間はなるべく負担をかけないように安静にするのが一番効果的です。
痛みがないからといって無理に動くと、状態を更に悪化させてしまうこともあります。 - アイシング
炎症がある場合、熱感を取り除くアイシングを行うことが重要です。
タオルや湿布の上から氷嚢(ひょうのう)をあててアイシングを行います。
アイシングの時間はせいぜい10分~15分くらいで、長時間の冷やし過ぎは却って逆効果になってしまいます。
また冷やしても痛みが軽減しない場合は無理におこなうのはやめましょう。 - 包帯、サポーター
膝を圧迫していることで、歩行など動かす時の負担が軽くなります。
痛みがひいてもしばらくサポーターをすると、負担が軽くなり腫れにくくなります。
サポーターは膝部を固定させるため、炎症の原因になる膝のブレを解消する効果があります。