アプレイ引っ掻きテスト(Apley’s scratch test)
目的
また、このアプレイ引っ掻きテストは肩関節(肩甲上腕関節)の可動域が正常かどうかを調べるテストとしても良く用いられます。
このテストで陽性反応が出てしまった場合、棘上筋の腱の損傷、及び肩関節の可動域に何らかの問題があることが疑われます。
実施方法
1. 患者さんを立位(座位でも可)にさせます。
2. 検者は患者さんに一方の手を頭上に伸ばし、肘を曲げるように指示します。
3. 続いて、もう一方の手を腰にまわし、肘を曲げるように指示します。
4. このとき検者は患者さんに両手の指先が肩甲骨付近で触れるように指示します。(決して無理をさせないでください)
5. 同様に反対側も実施します。
結果の評価
このテストで患者さんが肩関節に痛みを訴えたらローテーターカフ、特に棘上筋の腱が損傷してしまっていることが疑われます。
このテストを行っても痛みがなく、単に背中に手が回せないだけなら肩関節の可動域が減少してしまっていることが疑われます。(勿論、肘関節の動きが硬くなっていることも考えられます)
参考
- このテストは既に『肩関節周囲炎(かたかんせつしゅういえん)』になってしまっている方の実施は非常に困難だと思います。
肩関節周囲炎の方にこのテストを行わせると症状が悪化する可能性があるので決して無理にやらせないでください。 - このテストを行っても肩に痛みもなく、両手の指先が軽く触れるようなら肩関節の動きは適切といえます。
指先が触れないようなら肩関節の可動域が低下、両手の指先が組める(つかめる)ようなら可動域がありすぎると考えられます。(しかしながら指先が組めるからといって必ずしも肩関節が緩い(ルーズ)とは言うことはできません) - 上記の写真の右手側の動きを俗に結髪動作(けっぱつどうさ)といいます。
運動動作があたかも髪の毛を結うような動作にみえることからそう名づけられました。
結髪動作は肩関節の外転、外旋及び肘関節の屈曲の複合動作です。 - 上記の写真の左手側の動きを俗に結滞動作(けったいどうさ)といいます。
運動動作が帯を結ぶように手を腰の後ろに回す動作にみえることからそう名づけられました。
結滞動作は肩関節の伸転、内旋及び肘関節の屈曲の複合動作です。