骨折後はリハビリを積極的に行うことが大切。それを疎かにすると…|萎縮・拘縮を防ぐリハビリと骨折の基礎知識を徹底解説

骨折

最もメジャーで、誰もが耳にしたことのあるケガの一つは『骨折』ではないでしょうか。骨折とは、転倒や殴打などの衝撃や、病気や『骨粗鬆症(こつそしょうしょう)』などの老化現象、また、身体を酷使したことによる疲労などで、骨にヒビや欠け、凹み、折れなどが発生した状態のことをいいます。

骨折の種類

骨折は、大きく『外傷性骨折(がいしょうせいこっせつ)』『病的骨折(びょうてきこっせつ)』『疲労骨折(ひろうこっせつ)』の3つに分類することができます。突発的に起こる外傷性骨折は『スポーツ外傷』に含まれ、繰り返し外力が加わり続けたことによって起きる疲労骨折は『スポーツ障害』に含まれます。

骨折は、折れた状態や『骨折線(こっせつせん)』の様子によって、以下のように大きく7種類に分類することもできます。

  1. 開放骨折(かいほうこっせつ)
    折れた骨が皮膚を突き破って外に飛び出してしまった状態の骨折です。感染のリスクが高く、緊急の処置が必要です。
  2. 閉鎖骨折(へいさこっせつ)
    開放骨折のように骨が皮膚を突き破って外に飛び出していない骨折です。骨は身体の内部に留まり、皮膚に損傷は見られません。
  3. 横骨折(おうこっせつ)
    骨の長軸方向に対して直角に骨折線がある骨折です。一般に、外部からの直線的な衝撃によって起きることが多いようです。
  4. 粉砕骨折(ふんさいこっせつ)
    大きな外力が加わるなどして、折れた骨がいくつもの欠片にバラバラに分かれてしまった骨折です。
  5. 斜骨折(しゃこっせつ)
    骨の長軸方向に対して斜めに骨折線が入る骨折です。お互いの骨がずれてしまうことがあります。
  6. らせん骨折
    スキーやスノーボードなどの転倒で強く身体を捻じってしまったことによって生じる、骨折線がコイル状(らせん状)にみえる骨折です。
  7. 不全骨折(ふぜんこっせつ)
    骨が完全に離断せず、途中まで亀裂がある骨折(亀裂骨折)です。骨が柔らかい乳幼児に起こりやすく、若木骨折ともいいます。

骨折は新たな骨組織ができるまで固定し安静にするのが基本

骨折してしまった場合、治療期間には個人差があり、骨折をした方の年齢などによっても大きく異なります。一般に、成長期の子供であれば比較的骨折の治りは早いのですが、高齢者の方だと骨折の治りは非常に遅く、骨折後、リハビリをいかにきっちり行うかによって、その後の生活が大きく左右されてしまいます。高齢者で、かつ骨密度が少ない方では、骨折をしたことでそのまま寝たきり状態になってしまうことも珍しくありません。

骨折の治療方法は、ケガをした箇所によって異なり、重篤なものでは手術を必要とするケースもありますが、多くの場合、まずは整復(骨折部位を本来あるべき位置へ戻すこと)を試みて、ギプスなどの器具で固定した後、『仮骨(かこつ)』と呼ばれる骨折部位を修復するための骨組織ができるまでの間は、なるべく安静にする、といった治療法が用いられます。

骨折後はリハビリテーションを積極的に行うこと

長期間、骨折した部位をギプス固定すると、筋肉が細く小さくなってしまい、関節を固定した場合は、関節の動きが悪くなって関節可動域が狭まっているのがわかります。このように筋肉が細く小さくなることを『萎縮(いしゅく)』、関節が固まって関節可動域が悪くなることを『拘縮(こうしゅく)』といいます。

萎縮による筋力低下や、拘縮による関節可動域の低下は、リハビリテーションを適切に行うことで徐々に回復していきます。下肢を骨折したケースでない限りは、トイレで便座に座ったり立ち上がったり、階段の昇り降りなどの何気ない普段の動きを積極的に取り入れるようにするだけでも、筋肉量の維持・向上につながります。

しかし、このようなリハビリテーションを行ったとしても、筋肉にうまく力が入らなかったり、本来の関節可動域よりも極端に狭い範囲でしか関節を動かせなくなってしまったりすることも、往々にしてあります。例えば、もともと運動機能が低下している高齢者が骨折した場合、関節可動域がより狭くなってしまうので、リハビリテーションでの回復がとても困難な状態になってしまいます。また、閉経期以降の女性は、女性ホルモンの分泌減少や、腸からのカルシウムの吸収低下などにより、骨密度が低下しやすく、ほんの些細なことでも骨折してしまうことがあります。

子供も基本は大人と同じリハビリ

先にも述べたように、成長期の子供は骨の修復が早く、治療期間も成人に比べて短いのが特徴です。しかし、治療の間に痛みへのトラウマが残ってしまい、骨折した箇所をあまり積極的に動かさないようにする子供もいます。そうなると、いかに治りの早い子供といえど、骨折部位の周辺にある筋肉が凝り固まって可動範囲が狭くなったり、筋力が著しく低下したりしてしまいます。

基本的に、成長期の子供が骨折した場合でも、成人と同様の治療方法がとられます。しかし、子供の骨折の場合は、骨そのもののダメージよりも、軟骨組織へのダメージの有無が重要になってきます。

骨端部と骨端線(成長軟骨)の図

『骨端部(こったんぶ)』と呼ばれる部位にある軟骨組織は骨端線(こったんせん)といい、これは『成長軟骨(せいちょうなんこつ)』とも呼ばれます。成長軟骨は、文字どおり骨を成長させる役割(主に長さに関わる軟骨)を担っており、骨折によってそこが損傷してしまうことで、骨の生育が止まってしまうケースもあります。

軟骨組織が受けたダメージの程度によっても大きく異なりますが、生育が止まることで、左右の骨のバランスが崩れたり、骨が湾曲したまま伸びたりするケースもあるため、慎重な治療が必要になります。成長期の子供が骨端部位を骨折した際には、骨折部の修復後にも予後の経過を注意深く観察することが不可欠ですので、骨折部位が動くからといって、勝手な判断で通院を中止したり、スポーツを始めたりすることは、絶対に行わないことが大切です。

リハビリテーションは勝手な判断で中止しないこと

骨折をした際の治療やリハビリテーションは、その後に健康的な生活を送るために非常に重要なものとなります。リハビリテーションは、医師の指示(処方)に従って理学療法士(PT)が直接指導するのが一般的です。医師や看護師、理学療法士の指導を受けながら、正しく続けていきましょう。

そもそも骨折を避けるために、普段から骨を強化しておくこともとても重要です。骨を強くするためには、日頃からカルシウムやリン、ビタミンD・Kなどの摂取を心がけ、適度な運動を行って骨に刺激を与えることが、骨折の予防に大いに役立ちます。

リハビリを疎かにすると、どうなるのか

「骨さえくっつけば元通り」と考えて、リハビリを軽く見てしまう方は少なくありません。しかし、骨折で本当に怖いのは、折れた骨そのものよりも、固定している間に進む「廃用(はいよう)」、つまり使わないことによる筋肉や関節の衰えです。

ギプスなどで関節を固定して動かさないでいると、わずか数週間でも筋肉は痩せ(萎縮)、関節は硬く(拘縮)なっていきます。リハビリを疎かにすると、この萎縮・拘縮が固定化してしまい、骨はくっついたのに「力が入らない」「関節が元のように曲がらない」といった後遺症が残ることがあります。特に高齢者では、これがきっかけで歩く力や日常動作の能力が落ち、そのまま寝たきりや要介護につながってしまうことも少なくありません。

だからこそ、痛みのない範囲で早期から少しずつ動かし、医師や理学療法士の指示に沿ってリハビリを継続することが、回復のカギになります。逆に、痛いからと動かさなさすぎるのも、自己判断で痛みを我慢して動かしすぎるのも禁物です。骨折後に「思うように動かせない」「痛みが長引く」と感じたら、自己判断で中断せず、必ず専門家に相談しながら進めることが大切です。

まとめ

骨折は、固定して仮骨ができるまで安静にするのが基本ですが、その後のリハビリがその後の生活を大きく左右します。固定中に進む筋肉の萎縮や関節の拘縮を、リハビリを疎かにすると後遺症として残してしまい、高齢者では寝たきりにつながることもあります。子供では成長軟骨(骨端線)の損傷に注意が必要です。リハビリは自己判断で中止せず、専門家の指導のもとで続けましょう。

参考文献・出典

・日本整形外科学会https://www.joa.or.jp/

・厚生労働省 e-ヘルスネットhttps://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/

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