- Home
- 骨や関節のトラブルとその原因, 腹部・腰部の症状
- 慢性腰痛とイスの座り方について
慢性腰痛とイスの座り方について
つらい慢性腰痛に悩まされているという方は少なくないのではないでしょうか?
腰痛をどうにかしたいと考え、病院に行ったとしてもこれといった痛みの原因が特定できるわけでもなく、また、接骨院やマッサージ店などに行っても症状が一向に緩和されないということも珍しくありません。
慢性腰痛になってしまう理由は様々考えられますが、今回は『腰痛とイスの座り方』について取り上げたいと思います。
本当にイスに座った方が楽なのか?
今回は主に椅子の座り方について解説して行きます。
元々、人類の祖先は四足歩行をしていましたが、進化していくうちにやがて二足歩行で歩けるようになり、様々な英知を獲得することができるようになりました。
しかし、人の身体は未だに二足歩行に適応した状態になったとは言えず、絶えず、重力の影響を受けて腰痛や肩こり、首の痛みなどの様々な不快症状に悩まされ続けています。
そのため腰に負担を与えないようにするためにも普段からできるだけ正しい姿勢を心掛けるようにすることが何よりも重要になります。
特に注意しなければならないのは、立ち方よりもむしろ座り方のほうかもしれません。
何となく立っている方が疲れやすく、座っている方が楽だとイメージしがちですが、これについてはかなり個人差があり、腰の形などによっては座っているとかえって腰や首肩に強い負荷がかかってしまうこともあります。
例えば不良姿勢の一つ『猫背+フラットバック姿勢』になってしまっている方は典型的です。
人間の脊柱を真横から見たときに脊柱は緩やかなS字状の弯曲を描いているのが正常です。
これは生理的弯曲と呼ばれ人間が直立を保つためには無ければならない弯曲で、強すぎても弱すぎても腰痛などの不快症状を発症するようになってしまいます。
腰椎は通常、前弯(前に凸してる状態)しているものですが、しばしば前弯が少なくなる、あるいは消失してしまうことがあります。
これを俗に『フラットバック』と言います。
フラットバックの方は基本的に⑤大臀筋や⑦ハムストリング、下腿三頭筋、④腹直筋、②大胸筋などの筋肉の柔軟性が少ない傾向があります。
このため、本来ある程度、立たせて置かなければならない(正確にいうと骨盤はやや前傾している)骨盤が後方に傾いて(これを後傾といいます)しまい、椅子に深く座り続けることができず、下の図のようにお尻が座面から滑り落ちるような力がかかってしまいます。
このときの姿勢を真横から見ると腰から首にかけて大きなCの字のようなカーブを描いてしまっているのがお判りいただけるかと思います。
このような座り方をしているとやがて背中や首肩、腰などに痛みやコリを感じるようになってしまいます。
座り方が間違っていると、リラックスできているつもりでもこれらの筋肉だけではなく腰椎や骨盤にどんどん負担が蓄積されていって、やがて腰痛だけではなく様々不調が現れるようになります。
座るときの正しい姿勢
座るときの正しい姿勢は基本
- 軽く顎を引き、背筋を伸ばします。
- 腹を引っ込めて尻が椅子の背もたれにつくように深く腰かけます。
- なるべく大腿部が床と平行になるようにします。(後傾タイプか前傾タイプによっても異なります)
- 足裏全体を床につける
その他にも気をつけたい点としては机からイスまでのスペースが握りこぶしが二つ分程度になるようにイスの位置を調整するということも大切になります。
また、正しい座り方を維持するためにも、イスそのものが重要な役割を果たしているのは言うまでもないでしょう。
選ぶときにはどうしても感触が柔らかいかどうかとか、キャスターの有無、デザインなどに目が行きがちですが、実際に座ってみて自分の体格に合うかどうかをしっかりと見極めた上で選ぶべきです。
高価なものであれば人間工学に基づいた設計になっているイス(腰や首肩に負担がかかりにくい)などもありますが、そもそもイスの高さの調節などをきちんと自分の体格に合わせて使用しなければ、その真価が発揮されることはありません。
また、机の高さなどもとても重要になります。
自分の体格に合わない机を使用するとイスと同様、身体にさまざまな負担がかかります。
できれば座ったままの姿勢が長時間続かないようにするために『スタンディングデスク』を用いてデスクワークを行うことが理想的(特にフラットバックタイプの方には有効です)です。
しかし、日本ではまだスタンディングデスクが使用されることがあまり現実的ではないかもしれません。
何故ならスタンディングデスクは従来の机に比べると値段が高価だということもありますが、立ったままでデスクワークを行うことの有用性(役に立つこと)がまだ、あまり広く認知されていないからです。(因みに立ちながら作業することで集中力が増加、ふくらはぎのむくみなどの軽減、首肩こり腰の痛みの軽減、肥満の解消などの効果があると言われています)
ある研究によると『1日に6時間以上座っていると死のリスクが40%増加すると言われています』
デスクワーカーにとって、6時間以上座りっぱなしの作業は日常茶飯事なのではないでしょうか?
何れにせよ1時間に数回は座り直したり、立ち上がるなどして姿勢をリセットするように習慣づけることが大切です。
正しい座り方は腰痛だけでなく肩こりなどの予防にもつながり、集中力をアップさせることもできるなど、多くのメリットが期待することができます。